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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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79.お馴染みの高級食材

「「いくぞ!」」

「「「了解!」」」


 眼鏡女子のカルティカちゃんが土蓋を取り、ラルフ君とお孫ちゃんが中の温度を風の魔法で下げて穴に入り、かけ声を上げる。


 ふふふ、お孫ちゃんとラルフ君の息が合ってきていて、お婆ちゃん嬉しいわ。


 もちろん私達2年生組は皆仲良くお返事よ。


 一体感を持つって大事。

楽しい1世紀ぶりの青しゅ、いえ、青春(あおはる)だもの。


 前世のJKだった孫が使っていた言葉だけれど、使い方ってこれでいいのかしら?


「「本気か(なの)」」


 なのに金髪組は手伝うと言った割にはノリが悪いのね。

穴の外の仕事の方が体力的には楽なのよ?


「ふん」


 家格君に至っては不貞腐れてしまっていてノリ以前の大問題ね。


 でもいいわ。

ラルフ君の問いに4年生達もお互い協力するってお返事して、実際手伝っているもの。


 何だかんだで、可愛い子達ね。

これぞキャンプ効果よ。


 何をしているのかといえば、もちろんこれからムカデの解体と調理なの。


 チラリと穴から少し離れた向こうを見れば、やっとムカデの頭のウゴウゴが止まったわね。


 毒もいい感じに地面に吸収されているわ。


 ふふふ、ラルフ君とお孫ちゃんが切断して蹴り飛ばした頭はずっとウゴウゴ動いていたのよ。

ムカデの生命力って凄いわね。


「公女!

確認を!」


 穴に入った2人が焼き上がったムカデを節ごとに切っては中から外に放り投げる役割なの。


 けれど焼き上がりを最初に確認しないといけないわね。

魔獣の生煮えは体に良くないから。


 身体強化をしたラルフ君がブン、と投げたムカデの一部が金髪組の張った魔法障壁に当たったわ。

計算して敷き詰めて作った草の敷物の上に2メートル四方程の大きさになったそれがバウンドして転がる。


 草はバナナの葉っぱのような形よ。

食用、というか主には調理用に使える草で、笹のような香りと抗菌効果があるの。


 近寄って草の上に転がったムカデの断面を確認する。

殻は真っ黒焦げだけれど、断面はあちらの世界でも見覚えのある繊維質な白ね。


 ついでに香りも軽く堪能するわ。

少し土の臭いはするけれど、これは殻を外せば問題ないのよ。


「ふわぁ、良い香りですね、ロブール様!」

「ふふふ、そうでしょう」


 まあまあ、いつの間にか隣に来ていたカルティカちゃん。

気持ちはわかるけれど、涎は拭きなさいね。


「大丈夫よ!

続けてちょうだい!」


 返事をするのに大きな声を出せば、お腹が小さく鳴ってしまったわ。


 ああ、この独特な甲殻類と磯の香り。

森にいるのに磯なの。


 カルティカちゃんがああなるのも致し方ないわ!

だってこの香りも食感もあちらの世界でもお馴染みの高級食材、蟹だもの!


 そう、こちらの世界のムカデ型魔獣の肉質やお味は蟹なのよ!

少し塩味が足りないけれど、蟹!

ムカデなのに、蟹!


 食材情報源は某王家の影にしてオネエなガルフィさん。

彼は一時期うちのログハウスの天井で同居していたのよ。


 その時に普通のムカデを見て、魔獣は美味しかったって話してくれたの。

でも美味しいけれど、お腹を壊したらしいわ。

たまたま修行中に遭難して食べ物がない極限状態に陥ったから焼いて食べてみたのですって。


 ある意味踏んだり蹴ったりね。


 普通のムカデと違って大きさもさることながら、魔獣のムカデには顎肢付近の胴体に魔石核があるの。

そこが普通のムカデとの明確な違いね。


 香ばしい磯の香りと聞いた幼い私は、食への追求を刺激されたわ。

だから彼の留守中にお試しでムカデを狩って食べてみたの。


 もちろん今現在進行形で、ムカデは普通の虫も魔獣も食用じゃないのよ。


 あらあら?

でもあちらの世界ではムカデって生薬の1つだったような?


 まあいいわ。


 その時うちの仲良し料理長さんが魔獣のお肉は十分に毒抜きや火を通さないと危ないって言ってたのを思い出して、もしかしてと思って先に毒の部分を切ったの。

ラルフ君とお孫ちゃんがしたようにね。


 料理長さんの話の通り、念入りに焼いて食べたら、まさかの蟹!


 持ち帰ってキャスちゃん含めて聖獣ちゃんと愉快な仲間達にも振る舞ったら気に入ってくれたわ。

以来うちのログハウスの定番食材になっているのよ。

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― 新着の感想 ―
多分日本人に一回転生してなかったら食べようとは思わんかったやろうなあ
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