表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&1/9最終巻発売予定
6-2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

702/710

691.真実の名を告げる公女~国王side

「それじゃあ、アヴォイド」


 公女の呼びかけに応じるように、アヴォイドと呼ばれた金色の粒子が、公女の2倍近くに大きく膨れ上がる。


 かと思えば、その姿を露わにした。

アヴォイドは、毛の長い、立派な象牙を持った象であったのか。


 アヴォイドは前へと進み、公女と向かい合う。


 同時に、ジャビが動こうとしたが、公女が何かしら干渉したのであろう。


 突如ジャビの足下に、白いリコリスが生える。

リコリスはジャビに絡みつくように伸びて、花開き、白銀の花粉を放つ。


 途端、ジャビは口を(つぐ)み、大人しくなった。


 鑑定すると、花粉には聖獣の力を込めた浄化作用がある。


「ほう」


 尚、隣のライェビストが魔法馬鹿らしい、愉悦の言葉を漏らした。

もちろん余は、見ざる、聞かざる、言わざるを貫く。


「良いのか?

お前だけは、ロベニア国建国より関わる、全ての者に復讐する権利があるはず」

「そもそも復讐になんて、興味ないわ。

そんな人生、楽しくないじゃない。

もしも最初から正してしまえるとしても、私は前世で旦那さんや家族と出会えなくなってしまうもの。

何よりベルジャンヌが自覚しないまま負っていた心の傷はね、月和の両親が癒してくれたのよ。

そしてベルジャンヌが得られなかった、誰かと人生を共に歩む経験は、影虎が生涯を通してさせてくれた。

家族を失って胸を痛める経験も、両親と影虎に教わった。

そんな月和を癒してくれたのもまた、月和の家族だったわ。

けれど魂を通じて【私】を支えて続けてくれたのは、アヴォイド。

あなたから始まり、ベルジャンヌからラビアンジェになった今に至るまで、聖獣であるあなた達よ。

そもそもベルジャンヌを直接虐げたオルバンスとスリアーダ、その他諸々には、ベルジャンヌだった【私】が言葉そのまま、鉄拳制裁しているわ。

ふふふ、今でもあの時の爽快感は忘れていないわ。

お兄様達が、いくらかの過去を変える前も、後もね」


 公女が思い出したかのような、うっとりとした笑みを溢す。


 確かに余も、アヴォイドが尋ねたのと同じ事を、かつて公女に問うた事がある。


 あれはロブール公子達が、学園祭で過去に渡る前。

公女が異形の姿となった、自身の母親であるルシアナを浄化し、葬ったあの日だ。


 あの日も公女は、余に同じ事を話しておった。

復讐は自分の手でしなければ、意味がないと。


 そしてベルジャンヌは自ら、オルバンスとスリアーダを殴ったから、もう良いのだと。


 ヒュシスは公女の笑みを見て、「そうでしょうとも。わかるわ」と言わんばかりの表情で、頷いた。


 そうよな。

先程ジャビに何度も往復ビンタをして、公女から勝者を宣言されたのは、他ならぬヒュシスであったな。


「復讐心はそもそもないのだけれど、ベルジャンヌであり、ラビアンジェでもある私のご先祖様達のやり取りを見ていて、これはこれでスカッとはしたわね」


 くすくすと笑う公女は、先程から口を開いて動こうとするジャビに、何かしら干渉しておる。


「だからね、アヴォイド。

後の事は、あなたとヒュシスに任せるわ。

どのみちもう二度と、あなた達は私の許可なくこの世界から出られない。

ここは私が創造した世界。

私こそが、この世界の神ですもの」


 そう言って、公女はジャビの前に立った。


「ジャビ、いえ、ヴェヌシス」


 公女がジャビの真実の名を口にする。


 ジャビが驚きに目を瞠る。


 それはそうだろう。

初代国王ヴェヌシスの名を封じ、ヒュシスを女神として祀った2代目のロベニア国王。


 それらは全て、悪魔となった初代国王ヴェヌシスを弱体化させる為。

そして自らの魂ごとヴェヌシスを封じたヒュシスの力を増す為。


「そう、か……ヴェヌシス……俺の名は……ヴェヌシスだ」


 ジャビは噛みしめるように、己の名を呟く。


 しかし恐れていたような、つまり悪魔としての力を取り戻す、もしくは凶悪さを増す素振りは見られない。


 公女の言う通り、この世界における公女が、絶対的な神故に、防いでおるのか?


 それともヒュシスの魂が側に在る事が、何かしらの影響を与えておるのか?


 いや、そのどちらもだと、余の勘は告げておる。


いつもご覧いただき、ありがとうございます。

珍しく(大部分が)シリアスですヾ(≧∇≦)

ええ、皆様、シリアス回ですよ、シリアス回!


国王がラビアンジェと会話した内容は、№412に。

興味がありましたら、ご覧下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ