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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
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670.いわゆる個性的~国王side

「ところでロベニア国王陛下。

この魔法具には、起動ワードが設定されているはず」


 カインの言葉に、余の前におる宰相の体が、僅かにピクリと震える。


 余は何の反応もせぬまま、未だライェビストが手にする、網なる魔法具の情報開示範囲を思い起こす。


 魔法具()を製作したロブール公女は、学生の身。

そうであるが故、魔法具を登録していても、情報の開示は限定的にしておる。


 もちろん当人と協議の末の措置。

これは魔法具科に所属する、その他の学生も同じ。


 学園を卒業した際、改めて製作者本人が開示範囲を選び、登録を修正する事が可能になる。


 此度の魔法具であれば、開示範囲は魔法具の概要のみ。


 製作者名の他、実際に使う為の起動ワードは開示できぬようにしてある。


 製作者保護観点からの制限が、こんなところで余らへ有益に働くとはな。

何が有益なのかは、この際、考えぬ事にするが……。


「しかしギルド本部が調べた限り、製作者名と起動ワードが何なのか、伏せられ……」

「見つけた」


 情報開示を求めそうな、不穏な気配を放つカインの言葉は、しかし冒険者ギルド側の人間である従者が遮った。


 どうやら体格から推察しておった通り、ローブの中は女性――それも若い女性らしい。


 声のした方を見れば、カインの従者が壁の方を向いておる。


 それよりも……見つけた?


「……今は謁見中だ」


 ため息を吐いたカインは、後ろを振り返り様、従者に告げる。


「目的は、見つける事よ?」


 カインの言葉に従者が首を傾げた。


 すると目深に被っていた従者のフードが少しずれ、どちらかといえば可愛らしい系統の(かんばせ)が現れた。


 従者の瞳は、どこか魔獣の瞳を彷彿とさせる赤みがある。

透明感のある血色に、魔獣の赤色が混じったような色と言うべきか?

その瞳に、もしやと思う。


 S級冒険者(鮮血の魔女)では?


 直後、従者から微かな魔法の発動を感じた。


 しかしライェビストが従者に向かって阻害する措置を取る。


 従者はライェビストを見やるも、カインが従者の視線を遮るように立ちはだかる。


 同時に余の前には、宰相が己の背で余を庇うようにして立つ。


 カインがそれぞれの手を、従者の両肩に置いた。


「その為に、謁見している。

頼むから、今は大人しくしてくれ。

ギルド本部が正式な手順で、国王に謁見申請を出すから、くれぐれも、立ってるだけにしろって、念押ししただろう。

な?」


 カインがフードの中を覗き込みながら、言い聞かせるように発言する。


「国王陛下、申し訳ありません。

この者は、索敵魔法を展開しようとしただけです。

決して誰かに害のあるような魔法を、行使しようとしたわけではありません」


 余に背を向けたままのカインが、謝罪と説明をする。


「従者ではなかったのですか」


 宰相が非難するかのような口調で、カインを咎める。


 今度は従者が、肩に置かれたカインの手をすり抜けるようにして、一歩前に出た。


「今日はカインの従者よ。

ギルド本部からも、そう依頼を受けたから、嘘は吐いてない、モガッ……」

「従者は、勝手に発言しない。

主人の言葉を、自由に遮ったりしない。

ったく、ギルドも適材適所を考えて依頼しろよな。

とりあえず、もう正体を明かすからな。

はあ、結局こうなったか」


 従者、いや、従者と称した者の口元を、カインが後ろから物理的に片手で塞ぐ。

ため息を吐き、諦めたように、というより、途中から愚痴をこぼしておらぬか?


 カインは空いた手で、自分の目線より下にあるローブのフードを下げる。


 すると白をベースに、薄く赤みがかった髪が顕わになる。


「やはりS級冒険者【鮮血の魔女】殿か」


 どうやら宰相も、ローブの人物に当たりをつけておったようだ。


「左様です。

スタンピードを沈めた者がS級――つまり災害級の実力者であると仮定します。

こちらが攻撃されるようなアクシデントが起これば、対抗できるのはS級冒険者だけになりますから」

「攻撃される事態が想定され得る接触を、されると?」


 宰相がやや警戒した口調になったが、恐らく、それは宰相の杞憂にすぎない。


 冒険者ギルド本部がS級冒険者を欲するのは、もちろんその力をギルドの為に使いたい側面もある。


 しかし世情的に仕方ない部分があり、当然とも言える。

ある意味、災害級の実力者を保護しつつ、保護する者と社会との橋渡しをする役割も担っておるのだ。


 それほどS級冒険者となり得る者は、強すぎる能力故に……まあ、大抵の場合、性格が破た、んんっ。

いや、個性的な性格をしておるのだ。


 ライェビストも、そして娘の公女も、その気になればS級冒険者となれるであろうが、両者共……まあ、個性的よな。


 そして目の前の鮮血の魔女よ。

短いやり取りではあるが、そなたも個性的な性格をしておるな。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

お気持ち程度に足首付近の骨がちょろっと折れたり、家族の体調不良が重なったりで、今週と来週の更新は1回ずつになりそうです(;´Д`)

カクヨムの方が先行更新しているので、更に先をご覧になりたい、待てないという方は、そちらをご覧下さいm(_ _)m

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