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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
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635.急展開

__バタバタバタバタ!


 2人の族長達が、更に色々とまくし立てて話す中、複数の足音が忙しなく近づいてくるのが聞こえた。


 同時に静止させようとする__恐らく少し前、乱入する族長2人を静止していたベルシュリーの部下__声が聞こえる。


 もちろん足音が止まる気配はなく、バンッと、けたたましくドアが開く。


「「「「アンタ!」」」」

「「親父!」」

「「「「お義父(とう)さん!」」」」

「「「「クソジジイ!」」」」


 年代がバラバラだけれど、関係性は察せられる人達が、男女入り乱れて勢い良く突入してきた。


「「お、お前達?!」」


 筋骨隆々族長とツルリ族長が、2人して驚き、立ち上がる。


「話は聞かせてもらったよ!

まったく、いつまで初恋拗らせて、私達夫人を蔑ろにする発言してんだい!」

「クィラ第1夫人の言う通りね!

いくら一夫多妻制だからってね、経済的な甲斐性さえありゃいいってもんじゃないんだから!」

「「私達、決めたわ!」」


 ツルリ族長にキツく詰め寄るのは、気の強そうな2人の女性。

最後は声をそろえて宣言した女性は2人共、ツルリ族長の奥様でしょうね。


「突然、アンタの声が風に載って聞こえてきたと思えば……」

「落ち着いて、カツィ第2夫人。

アンタ、わかっているわね。

他の2人の夫人と、前々から話し合った事を伝えにきたわ」


 ワナワナと怒りに震える、多分第2夫人であろう女性を気遣い、同時に毅然と筋骨隆々族長()に告げる女性。


 そんな一夫多妻制の夫婦を、それぞれに囲むのは、2人の族長それぞれの家族達でしょうね。


「何をやった?」


 そんな騒然とした状況なのに、冷静な、いえ、半分呆れたお顔を私に向けて尋ねるベルシュリー。

互いに椅子に腰掛けたまま、顔を見合わせる。


「あらあら、私は何もしていないわ?

強いて言うなら……ね?」


 背後を軽く見やってから、ニコリと淑女らしく微笑む。


「……はぁ。

やはり、そこにいたのか」


 するとベルシュリーも私の背後を見てから、ため息を吐き、そう続けた。


『シュピー♪』


 ふふふ、ピケルアーラったら。

ベルシュリーに気づいて貰えていた事が、嬉しかったみたい。


 上機嫌な噴気音が、私の右肩辺りから聞こえる。


 そんな私達2人と1体の、ほのぼのムードとは違い、いつの間にか自分の家族達から壁際へと、並んで追い詰められた族長2人は顔を引き攣らせていた。


「つ、つつつ妻達よ。

何を聞いたんじゃ?

いや、それより何を決めたと言うんじゃ?」

「ワ、ワワワワイフ達よ。

何が風に載って聞こえ……んんっ。

それより先に、俺に言いたい事を聞いた方がいいか?」


 まあまあ。

さっきまでの私に対する嫌味な態度と違って、奥様達には猫なで声を出しているわ。


 奥様の機嫌を取ろうとするのも、ある意味では当然ね。


 だってピケルアーラの話を出したあたりから、この邸近くの村で待機していた族長一家に、風魔法を使って今の会話を全て流し聞かせていたのだもの。


 もちろん魔法を使ったのは、私じゃない。

私の背後で姿を消しているピケルアーラよ。


 ピケルアーラは既に聖獣へ昇華し、私と聖獣契約を結んでいる。


 そこで追い詰められている族長達に、ピケルアーラの今の姿を見せれば、少しは態度を改めるかと思って話を切り出したのだけれど……。


「「「「族長多妻一致の権限を行使するわ」」」」


 ピッタリとシンクロした奥様達の宣言に、私の出る幕はなかったと考えを改める。


「「どどどどんな……いや、いい。

止めてくれ。

頼む、俺(儂)が悪かった」」


 真っ青になった族長2人は、自分の奥様が何を言うのか、もうわかっているみたい。

謝りながら、懇願する。


 ちなみに奥様達の言う権限は、族長達の複数いる奥様達全員が意見を一致させない限り、発動しない。

けれどその分、発動すれば夫が暴走した時の抑止力になる。

それくらい、部族の中で認められた強い権限よ。


「「「「夫であるチャド(シーン)族長を、ここにいる息子に交代させる」」」」

「「そんなっ!?」」


 あらあら、突然の急展開。


「「任せろ」」


 ガクリと膝から崩れた自分達の族長(父親)を無視し、世代交代に次の族長達が力強く頷いた。

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