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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
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628.リドゥール国訪問

「はじめまして、フィルン族長。

リュンヌォンブル商会より派遣された、デザイナーの月影よ」

「ああ、はじめまして。

族長のベルシュリーだ。

そうか、君が……」


 目の前にいるのは、白髪が混じった黒髪の男性。

瞳は菫色と藍色のオッドアイで、実年齢より若く見える。


 どこか感慨深く私を見つめる彼は、リドゥール国三大部族の1つであるフィルン族長。

ルカルドとカルティカの父親でもあるわ。


 ベルシュリーの瞳の色。

まさかチェリア家の瞳を、オッドアイで引き継いでいたなんて。


 カルティカちゃんと、お祖母様の護衛を務めているルカルド(ルカ)

この兄妹の金眼は、祖父にあたるリュイェンから継いだ、隔世遺伝かしら。


 もうわかる通り、ベルシュリーはリュイェンとアシュリーの息子よ。

三人兄妹の長子なの。


 ベルジャンヌだった私は、ピケルアーラとアシュリーをリュイェンに託した。


 5年程前、心臓発作でこの世を去ったリュイェン。彼は、シュリと名を変えたアシュリーの人生をまるっと引き受け、娶ったらしい。


 一夫多妻制が認められる三大部族だけれど、リュイェンはアシュリーだけを妻とし、人生を終えた。


 アシュリーと、アシュリーを追いかけたロウビル。

2人が亡くなったのは、もっと前だとルカルドから教えてもらった。


 アシュリーは三人目を生んだ後、体調を崩しがちになってしまった。

三人目の子供が10才を迎える前に、風邪をこじらせてロウビルより先に逝ってしまう。


 アシュリーがベルジャンヌを思い出す事は、最期の瞬間までなかったらしい。


 それで良かったと、私は心から思っている。


 アシュリーは息を引き取る前、リュイェンに「ありがとう」と言って、微笑んで旅立ったと聞く。

もしアシュリーがベルジャンヌを思い出していれば、そんな風に旅立てなかったはずだもの。


 ロウビルが亡くなったのは、アシュリーの末子が成人した頃。

かなりの高齢だったけれど、もしかするとアシュリーが最後に生んだ子供が成人するまではと、気力だけで生きていたんじゃないかしら。


 満足気な表情で、眠るように亡くなったと聞いた時は、前世で穏やかに死んだ自分と重なった。


 ラビアンジェ()のお祖父様、ソビエッシュを介して視た、過去が変わる前のロウビルの最期。


 ベルジャンヌ()の戸籍上の父親であり、血縁上では異母兄となるオルバンスに殺されていた。


 まさかロウビルが、あんな死に方をしていたなんて。


 そんな風に愕然とすると同時に、だからかと合点がいった。


 この事は、きっと誰も知らないわね。


 ちなみにお祖父様の記憶にあった、オルバンスに殺されるロウビルを、私も視れたのは、強制解除の古代魔法陣に、お祖父様が瞳の力で干渉したから。


 変わる前のロウビルの行動(愛情)を、知らないままでいなくて、本当に良かったと今ではほっとしている。


 元々の過去では、王城でオルバンスと最後に対峙したロウビルは、揉み合いになった。

ロウビルは隠していた短剣をオルバンスに握らせ、自分の心臓を刺させるの。


【自分の血を色濃く引き継ぐ者達へ、決して関わらず、害も与えるな】


 それがロウビルが自分の命と引き換えにしてかけた、オルバンスへの制約魔法。

自分の子、良くて孫という、有効範囲の狭い血縁者を、特定の者から強力に守る魔法よ。


 オルバンスがアシュリーを探さず、チェリア家にも手を出していなかったのは、ベルジャンヌが最後に与えた恐怖からだと思っていた。


 けれど変わる前の過去では、そうじゃなかったのかもしれない。


 何より、変わる前のオルバンスは、ベルジャンヌに抵抗する事なく、大人しく殴られてくれていた。


 そもそも変わる前の過去では、確かにオルバンスはベルジャンヌを呼び出したけれど、あの場にベリード公とニルティ公はいなかったのよ。


 恐らくオルバンスは、ロウビルのかけた制約魔法が、ベルジャンヌにも有効だと察していた。

もしかするとベルジャンヌへの害意を、あの日にベルジャンヌを呼び出す前から、ロウビルの制約魔法が防いでいたのかもしれない。


 ロウビルの制約魔法は、言い換えればオルバンスにとっての弱点とも言えるもの。

ベルジャンヌを含む、チェリア家の血縁限定になるれど。

 

 オルバンスの性格をかんがえれば、それが露呈するかもしれない場へ、二人の公爵を呼び出すとは思えない。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。


変わる前の過去で、ロウビルが亡くなった経緯が気になった方は、No.589をご覧下さいm(_ _)m


6章後半の開始です(ノ´∀`*)

7章にしようか迷ったものの、6章の延長で悪魔ジャビとの解決編となるので6−2(最終章予定)としました。

そして恐らくこの章が、約3年かけて書き続けた【稀代の悪女】物語の最終章になるかなと思います!

毎日更新は難しいですが、なるべく更新頻度高めで最後まで走ります!

最終章を完結後、他サイトにて要望のあったIF影虎を投稿するつもりです(*^^*)

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あとがきが長すぎる 書きたい気持ちはわかるけど
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