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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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596.突然の状況変化〜ミハイルside

「ポチとロナが?」

「はい。

3日前からポチが帰って来ないと思ってたら、今、ロブール公子から連絡がきて、シャローナも3日前から……」


 聞き覚えのある声がして、目を開ける。


「そう。

ポチは首輪、ロナには花を埋めてあるから、無事ではあるだろうけど……どっちも3日前から行方不明……」

「役立たずです。

姫様にシャローナの事、頼まれていたくせに。

婚約者からとっとと降りれば良いのに」


 どこかむくれた声音は、リリだろう。

もう1人は、間違いなくベルジャンヌ王女だ。


 ところで俺はどうして、こんな所に引っかかっているんだろうか……。


 突然の状況変化に、思わず途方に暮れる。


 魔法を使えば、現状を打破できる。

しかし、それでは聡い王女に気づかれてしまう。


 そうなれば半分から上が曇り硝子となっている、薄い扉越しに聞こえる会話は、当然中断されてしまう。


 幸いな事に、今は扉の向こう側。

部屋の内側には分厚いカーテンがされている。


 動かず、騒がず、気配を消していれば、きっと見つからない。


 ちなみにここは、かろうじて部屋の外になる。


「リリ、シッ」


 その時、不意に王女がリリに黙れと指示を出した。


「おい、ベルジャンヌ」


 間髪入れず、無遠慮にドアが開かれる音がして、同時に不遜な男の声が響いた。

続いて王女の返答を待たず、当然のように部屋へと入る2つの足音も中から聞こえる。


「何?」

「ふん、驚きもしないか。

相変わらず可愛げがない異母妹だな」


 なるほど、1人はエビアスか。


「おい、王女。

エビアス王太子殿下が直々に、お前の所に来たんだぞ。

その言い方は何だ」


 そしてもう1人の聞き覚えがある声は、ハディクだな。


「うん、それで?

何か用があってきたんでしょ」

「お前っ」

「ハディク、構わん」

「チッ」

「今は機嫌が良いんだ。

寛大な心で、愚妹の事を許してやる」


 ハディクを止めるエビアスは、確かに機嫌が良いらしい。

ハディクと一緒になって怒鳴ると思って身構えたのは、杞憂だった。


 しかしこの2人が部屋に入った時からずっと、礼節に欠けている。

礼儀知らずなのは、お前達だろうと言ってやりたい。


 もちろん今は、グッと堪えるが……。


「私の婚約者であるブランシュが、学園を卒業する。

それに合わせて重大な発表をする」

「発表?」

「そうだ。

私が学園を卒業してから、そろそろ1年が経とうとしている。

婚約者のブランジュも、あと数カ月で卒業だ。

それに合わせて、重大な発表をする事になった。

記念すべき日になるだろう」

「それで?」

「察しが悪いな。

今回の学園祭の後。

後夜祭のパーティー会場に来賓達が集まる中で、発表をする。

その時、発表に合わせて来賓達が驚きながらも感嘆し、私を褒め称える特別な仕掛けを考えろ」

「発表の詳しい内容は?」

「おい、平民の血を引く賤しい王女が、そんな事を知ってどうする。

ああ、王女には過ぎた婚約者が、他の女に現を抜かしているから、焦っているのか?」


 ハディクよ、そこでどうして王女の婚約者が出てくる?

恐らく王女は、特別な仕掛けの為に尋ねただけだ。

仕掛けを考えるにしても、来賓がいるような場で、見当違いな仕掛けは施せないからな。


 それにしても王女の婚約者が、他の女に現を抜かすと言ったか?


 先にしていた王女とリリの会話。

耳にした内容的にも、今のところソビエッシュがシャローナに現を抜かすとは、どうしても思えない。


「ハディク、我慢しろ。

賤しい異母妹には、傲慢で不釣り合いな王族としてのプライドがある。

私の魔力が増して、魔法の才が開花するまでは自惚れて慢心していたんだろうが、今は全てに対して私より劣っている。

頼みの綱であるソビエッシュ=ロブールという、血統書付きの婚約者も、今では完全に愛想を尽かしてしまったからな。

あまり的を射た発言を突きつけて、仕掛けを失敗されても困る」

「はは!

それもそうだ!

図星か?

無言になってやがる!

ははは!」


 確かに王女は無言だが、俺は短いながらも王女と接して、王女の性格はある程度わかっている。


 相手にするのが、面倒臭い。


 王女の感情は、これ一択だと思うぞ。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

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