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57.義妹の嘘と邸の仕事の引き継ぎ〜ミハイルside

いつもご覧下さりありがとうございます。

ブクマ、評価はありがたく頂いております。

お陰様で日間、週間共にランク入りをちょこちょこしています。

もちろん嬉しいです!

本日2話投稿していますので、ご注意下さい。

『もちろん悪気ない事は私はわかっているさ。

それよりラビアンジェの部屋に入る時に使用人は誰も止めなかったのか?』

『えっ、ええ。

たまたま居なかったから』

『そうか。

ちょうど父上からこの邸の管理を引き継ぐよう言われたからな。

この邸と敷地内の防犯を1度見直そうと思っている』

『そうなのですか?!』

『ん?

何故そんなに驚く?

長らく変わっていないなら点検や見直しをするのは当然だろう。

今日は私達3年生は授業が早く終わったからな。

少し見回っていたんだ』


 成人してからロブール家が治める領地の経営を父と祖父から少しずつ引き継いでいたが、今年に入ってからは邸の方の管理もするよう指示された。


 といっても邸の事は女主人の仕事でもある。

初めからあの母が素直に応じるとは考えていない。


 数日前、まずは帳簿の確認と邸内の修繕箇所と人員配置の見直しから始める事を母に伝えた。

もちろん良い顔はしていなかった。


『いえ、お兄様がどんどん当主らしくなられているご様子に驚いただけなの。

私も精進してロブール公爵家に恥じない公女になりますわ』

『頼もしいな。

シエナももうじき学園に入学する。

頑張りなさい』

『はい!』


 そう言ってその場は終わった。


 だがあの時、部屋から出てきた義妹は間違いなく姉の部屋だと言った俺の言葉を否定しなかった。

報告書を見る限り、姉が離れにいるのを知っていたはずなのに。


 義妹はシュシュを妹の過ごす離れから持ち出したんじゃないのか?


 あのシュシュを販売したDクラスの妹なら、作り方を知っていても不思議ではない。

あの時点では作り方を知っているのも、ゴムとかいう材料を簡単に手に入れられるのもロブール家では妹くらいしかいない。


 それに学園祭で購入した幸運のシュシュだと義妹はわざわざ言った。

それなら離れにあった物を学園祭の残り物と勘違いしても不思議ではない。


「念の為学園を出るまでは影を護衛につけた。

逆に公女が金貨を詰めた大袋を背負って徒歩で帰るとは誰も思わないだろうが、まあ念の為。

あいつには断られたから、影にはバレないようにしろと命令している。

せめて学園を出るまではと言って、今はヘインズが見送っている。

ミハイル、あいつが入学当初から徒歩通学だったと知っていたか?」

「いや。

だがシエナの入学に合わせて馬車を新調した。

ラビアンジェも共にその馬車で通うよう伝えたとシエナからは聞いていたんだ。

それに公爵家には他にも馬車はあるのに、何故使っていないのか……」


 コンコン。


「シエナです。

少し早いけど、引き継ぎの件でまいりました」


 ガチャリとドアが開いて入ってきたのは義妹だ。

義妹も生徒会役員だから返事を待つ必要はなかった。


「あら、お兄様ももういらしていたのね。

明日の魔獣討伐訓練のご相談ですか?」


 義妹はそう言ってにこにことこちらへ歩み寄る。


「そうだ。

シュア、明日の4年生の資料は返しておく」

「ああ」


 見られるわけにはいかない為、立ち上がってあえて興味が無いだろう俺達の学年の資料を装って返す。

そうしている間にも、義妹は俺が座っていた場所の隣に腰を下ろしている。


 執務机のシュアも心得たもので、顔色を変えずに受け取った。

執務机の横の台に置いていた鞄の中に片づける。


 俺はそのまま義妹の隣ではなく、対面のソファに腰を下ろして正面の義妹を見据える。


「お兄様?」


 いつもなら隣に腰かけただろう。

だが、どうしても顔を見て確かめたかった。


「シエナ、何故ラビアンジェと同じ馬車に乗って通学していない?」


 突然のこの質問には驚いたようだ。

目を丸くしている。


「シエナ、今日偶然あいつと会って、徒歩で通学していると聞いた。

知っていたか?」


 シュアが俺の隣に腰かけて問う。


「あ……その……」


 目が泳いでいるが、やはり馬車の件はわざと嘘を報告したのか?


「シエナの入学に合わせて馬車を新調したが、姉妹で使うようにと伝えておいただろう。

ラビアンジェにはそう伝えたと他ならぬお前から聞いていたが、何故1人で使用している?

何故それを私に言わなかった?」


 そう尋ねた時だ。


 コンコン。


 ドアをノックする音がした。

どうやら生徒会役員会議の時間が来てしまったようだ。

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