表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

575/702

565.表情豊かな犬顔〜ミハイルside

「ワン!」

「グハッ」

「……」


 ……ポチ、いや、レジルスが突然、転移してきた。

リャイェンの上に。


 俺の魔力をリャイェンの体へ僅かに流し、瞳の力でリャイェンの体内の魔力が枯渇したり、滞る時を見計らって干渉していた。


 こうする事で魔法抗体が幾分早くできる。

祖父が独自に編み出した異能の使い方だ。


 時間と共に抗体ができてきたのだろう。


 リャイェンの呻く回数が減り、やっと眠ったかと思えば、そこそこやばめな呻き声がでたぞ……。


「レジルス、そこは着地する場所じゃない。

立ったまま、王女を探す場所でもない」

「ワフ」

「王女は隣の部屋だ。

転移できたのか?

魔法が使えないんじゃ……」

「ワン!」

「フグッ」


 思い切りリャイェンを蹴って地面に着地したレジルス。


 再びな呻き声など意に介さず、ドアの前へダッシュ&ジャンプ&ドアノブを下げた。

そのまま出ていく。


「ポチ、無事に手に入れたんだね。

試作品の1回だけ転移できるスティック型魔法具も、ちゃんと使えたみたいだ。

部屋の中に戻るようセットしていたんだけど、そう言えば部屋のどこに転移したのかな?」

「ワン!」

「ま、良いか」


 王女よ、良くはない。

死にかけの人間を殺しにかかる魔法具だったぞ。


 レジルスよ、無邪気な振りして犬鳴きしてんじゃない。


 大方、王女に「問題ない!」とか言ってたんだろう。


 王女とポチを見に向こうの部屋へ出てみれば、王女はレジルスの首輪の裏側にスティックを差しこむ。


 もしや首輪の裏に収納魔鞄(マジックバック)を?

あんな小さな場所に?

しかもチラッと見えたスティック……俺達の時代では騎士団が要人の緊急避難用として使ってるやつじゃなかったか?


「ポチも八つ裂き状態にならずに転移できたみたいだし、回路を描いて騎士団に渡さないとね」


 王女よ、しれっと動物実験してたのか?!

リャイェンの魔法抗体といい、恐ろしい子だな?!

愛犬ポチの頭撫でながらとか、余計恐ろしいわ!


 ドン引きした顔で固まる俺とは違い、八つ裂きから難を逃れていたレジルスは、尻尾をブンブン振っている。


 少しは気にしろ、レジルス!

これだから王女の犬って呼ばれるんだ!


 心中で突っこんでいれば、レジルスと目が合う。


「フン」


 何だ、その羨ましいだろうと自慢しているかのような犬顔は!


 とイラッとしたところで、瞳に映像が映る。


 レジルスが後ろ脚で立ち、前脚で古い石造りの壁を押している?

何かを探るように、時にジャンプをして犬目線より高い位置も押して……ん?

ガコンと一部の石が奥に引っこんだな?

レジルスのような犬や、子供がギリギリ1人通れそうな穴となった隙間をレジルスがモソモソと這っていく。


 開けた空間に出た。


 レジルスがテーブルの上に大小の箱を見つけ、助走をつけてジャンプ。


 上が開いた大きい箱には、実験器具が幾つか入っている。

箱の横には小瓶。

手の平程の大きさの瓶に、レジルスが首輪で触れる。


「ワフ」


 レジルスが小さく一鳴きすると、小瓶は首輪にヒュッと吸いこまれた。


 レジルスが小さく長細い箱を、前脚と鼻先を使って開ける。


 すると中には……球根?

箱にギッシリと敷き詰めてある。


 更に球根の上に花が1輪……これはスノーフレークか?

白い花弁の縁に緑の点が1つある。


「ワン!」


 尻尾ブンブンなレジルスが、王女を急かすように一鳴き。


 すると王女が首輪から、今見た小瓶と長細い箱を取り出した。


「ん?

箱?」


 首を捻りながら、王女が箱を開ける。

中身は映像と同じだった。


「球根もあったんだ」

「ワンワン!」

「うん、思ってた以上の収穫だよ。

よくやったね、ポチ」


 レジルスは絶対「褒めてくれ!」と犬鳴きしたに違いない。

確信しかしない。


 レジルスは望み通り、王女に褒めて撫でられてご満悦な犬顔だ。

犬顔の方が表情豊かな気がする。


 王女がスノーフレークを検分してから、小瓶を手にする。

照明にかざした時、透明な液体の中に墨が混じっているかのような黒い何かが()えた。


 ほんの一瞬だったから、見間違いだったのか?


「ポチ、あーん」

「ワフ?」


 首を傾げたレジルスが口を開ける。


 すると王女が素早い動きで蓋を開け、中の液体を手の平に軽く載せて……。


「ワォグォ?!」


 犬口の中に手を突っこんだ?!

いつもご覧いただき、ありがとうございます。


作者:動物(?)虐待では……。

ラビ:動物じゃなかったはず?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ