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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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56.大袋を背負って帰る実妹、実妹の部屋から出てくる義妹〜ミハイルside

いつもご覧下さりありがとうございます。

ブクマ、評価はありがたく頂いております。

昨日3話目を投稿しようとしてできてませんでした!!

なんてこったい\(≧ロ≦\)

本日複数話投稿となりますので、ご注意下さい。

「何年か前からは定期報告になっているが、他にシュアが気になった事があれば教えてくれ」


 影は何年か前から付かなくなったはずだ。

なのに王子がわざわざ俺にこの報告書を見せるのなら、何かを見て余程の衝撃を受けた可能性が高い。


 本心を言えば、何も無かったと思いたい。

だが現実は無情だ。


「実は慰謝料を今日渡そうとしたんだが……金貨を大袋で3袋」

「なかなかの額だな」

「第2王子の婚約者であるロブール第1公女への慰謝料に相応しい額と言われた」

「まあ、妥当か」

「ああ。

だが持って帰ったのは1袋でそれ以上はいらないと断られた」

「理由は何と?」

「徒歩通学だから持って帰れない」

「……は?」


 あれ、おかしいぞ。

突然言語の理解力が落ちたか?

聞き間違いか?


「私の馬車で持って行くと伝えたが、断られた。

これまでに婚約者として交流した事が無かったから、むしろ突然そんな事をすれば誰かに見つかって余計に怪しまれると言われてしまったのだ。

その、今の離れでは防犯上良くないとも言った。

慰謝料も直接渡さねば……すまない、言葉を選ばなければならないのだが、端的に言えば自らの手元には入ってこないと考えているようだ。

結局大袋を1袋だけ背負って持って帰った」

「……いや、待て」


 頭痛がしてくる。

仮にもロブール公女が徒歩通学?

今は金貨の入った大袋を背負って歩いて帰っている?


 それに……防犯、か。


 思い返せば、やはりと思う。

この報告書には書かれていない。

だが……心当たりは……ある。


『私、学園祭で購入した幸運のシュシュを無くしてしまいましたの。

もしかしたらお義姉様がお持ちかもしれないと思って』


 あの時邸にあるはずの妹の、ラビアンジェの部屋から出てきたのは義妹のシエナ。

義妹が持っていたらしいシュシュは幸運のシュシュだと言った。


 それはあり得ないんだ、絶対。


『それで何故ラビアンジェの部屋に無断で立ち入る?

今日の1年生は帰宅が遅い。

まだ学園にいるはずだ。

妹であっても無断で入るのは良くない』

『その、ここは……いえ、ごめんなさい。

お兄様はどうして?』

『それはラビアンジェに言いなさい。

それより何故嘘を吐く?』

『え?』


 この頃はまだ義妹を疑っていなかったから、素直に疑問を口にした。

義妹の問いはひとまず無視してそう言えば、義妹は顔を強張らせた。


『幸運のシュシュを何故購入したと嘘を吐く?

シエナは知らなくて当然だが、あれは10個の限定販売で寄付も兼ねていたんだ。

だから殆どは先に購入者が決まっていた。

決まっていなかったのは2つだけだったが、どちらも誰が持っているかは事情があって判明している』

『その、え……と、ごめんなさい。

本当はお義姉様の持ってらしたシュシュが可愛らしかったから、こっそり見せていただいて同じものを作るつもりだったの。

お揃いで身につけて驚かせたくって』

『そうか。

どちらにしても妹とはいえ、無断で入るのは良くない。

ラビアンジェがいる時に見せて貰うなりしなさい』


 途端にしどろもどろに説明し始めたが、様子がぎこちない。


『はい。

でもお義姉様は私とはお揃いを嫌がるかもしれません』


 そう言いながら義妹はしゅんとする。

もちろんその様子は可愛らしいと感じるが、こればかりは人によるんじゃないだろうか。


『シエナだからというよりも、お揃いは人によっては好まないからな。

シエナの気持ちもわからなくはないが、ラビアンジェにも好みがある。

そこは先に相談した方が良いだろう』

『え……』


 そう思って助言したが、何だ?

一瞬ぽかんとした顔だな。

そんなにおかしな助言だったんだろうか?


『あ、えっと、そうですね。

お揃いを好まれないだけでは、お義姉様に意地悪されたとは限りませんものね』


 どこか引っかかる言い方だ。

言葉そのまま聞いてしまうと妹が義妹に意地悪でお揃いを拒否すると言っているように聞こえるぞ。

それはよろしくないな。


『それだけで意地悪だと思う必要はないし、シエナもそろそろ人への伝え方を考えた方がいいな。

それではその気がなくても姉を悪く言っているように思われかねない』

『えっ……あっ、いえ、そんな……』


 途端にオロオロし始めた。

この時はまだ言い方を間違えただけだと特に気に留めてもいなかった。

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