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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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455.目的は公女ではなく〜エメアロルside

「母上!」


 今は母上とシュア兄上の不穏な動きが気になって仕方ない私だ。

待っていましたとばかりのタイミングで、すかさず母上を制止しようとした。


 思っていたより大きな声になってしまったのは、緊張して力が入ってしまったから。


 仕方ないじゃないか。

両陛下がまだ話し終えていないんだよ?

そんな時に立場が下の側妃が、それも激レアな出現率のロブール公爵に話しかけるなんて、普通は考えられないんだから。

その上、母上は両陛下の前に出ようとしてたんだよ。


 とはいえ非常識な言動を取った母上だけれど、まさかこんな場所と状況では、堂々と良からぬ何かを起こすとは考えられない。

多分しない……はず。


 ただ頭ではわかっていても、絶対何か企んではいる。

私の勘はそう告げている。

胃がキリキリする……。


「……なあに、エメアロル。

大きな声ね」


 母上は余所行き用の声を出す。

もちろん私は息子なのもあって、不快感を醸し出しているのを敏感に感じ取った。


「シャ、シャローナ夫人とお話したいなと……ジェナと一緒に!

ね、ジェナ」


 ああ、駄目だ。

やっぱり私は意気地なしで、公爵じゃなく夫人の方へ方向転換。

だって夫人の方が絶対優しい。

公爵は顔が笑っていても、目は無機質で怖いんだよ。


 ついでに年の離れた異母妹だろうが、ジェナを道連れだ!

私は頼りないんだ!

王位継承するつもりのない王子なんだから、頼りなくても良いよね!

もういっそ今すぐ母上と縁を切って、臣籍降下させてくれる方が色々と助かるんじゃないかな?!


「お母様、良いでしょう?

運命の恋人達と噂の公爵夫妻ですもの。

ソビエッシュ殿ともお話したい」


 ありがとうジェナ!

一瞬、私をジロリと睨んでも可愛い妹だよ!

私の意図をくみ取って、話を合わせてくれた!


 王妃もきっと可愛い娘からの、可愛らしいお願いだからきっと聞いてくれる!


「そう。

それならエメアロルは王女と共に夫人のお相手、私はソビエッシュ殿と……」

「それならロブール夫妻と孫のロブール公女のクラスがやっている……豚骨風ラーメン?

それを食べに行くのはどう?」


 相変わらず余計な発言をしそうな母上を、王妃が遮る。

ありがとう、王妃様々だ!


「王妃、ソビエッシュ殿は私と……」

「クリスタ。

そなたの息子でもあるエメアロルは、じきに学園入学であろう。

エメアロルも王家では初めて早期入学という制度を活用する王子となる。

何故そうなったか。

そなたなら想像できよう?」

「それは……」


 食い下がろうとした母上を、今度は陛下が遮る。


 そうだよ、私は王家では初の……胃がキリキリする。

やっぱりシュア兄上がやらかした尻拭い入学の線が濃厚かな。


 早期入学のせいで短期間詰めこみ勉強地獄を経験した悪夢の日々が甦るね。


 口ごもった母上に、陛下は更に畳みかける。

頑張って、父上!


「来年度の学園では王家と四公の子息子女の内、ロブール公女が年長者となる。

場合によってはエメアロルの補佐を担う事も、なくはない。

公女と顔を繋ぐ良い機会故、そなたの話とやらは後日機会を設けられればその際にせよ」


 既にロブール公女とは突撃捕獲作戦を決行して、顔合わせ終わってますとか、絶対言わない。

正直、公女が私の学園入学後に補佐をしてくれる気がしないけれど、もちろん言わない。


 首をブンブン縦に振って、さも最初からそのつもりで夫人に声をかけましたよみたいな顔をしておく。


「……わかりました」


 良かったー!

母上もひとまず納得してくれた!


「すまぬが王子と王女を任せても良いか?

無茶はせぬ者達故、手間を取らせはせぬはず」

「私からもお願いできますか、ロブール夫妻」


 両陛下が後押しすれば、夫妻は頷いてくれる。


 夫人は朗らかに微笑んでいるけれど、公爵は顔はともかく相変わらず目が笑ってないよ!

怖いけど、今は気にしない!


「それでは、ロブール公女の元にまいりましょう!

よろしくお願いしますね、公爵!」

「ええ」


 暫しの歓談の後、ジェナが子供らしい無邪気さで公爵のエスコートを受ける。

目的は公女。

ではなく豚骨風ラーメン。

初めて聞くけれど、美味しいのかな?


 公女は私達のお願いを聞いてくれたのか、今のところ兄のミハイル殿には捕まっていないみたい。

申し訳なげな顔のミハイル殿には悪いけれど、私としては安心だ。


「よろしくお願いします」

「ふふふ、こちらこそ」


 緊張しつつ、公爵の代わりに夫人をエスコートしながら、私達も後に続いた。


 更に後ろには公爵夫妻の護衛がついてきている。

一言も喋らないけれと、何か手練れ感があるんだよね。

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