表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

461/702

452.前世の夢②

「月和と一緒に月見っつうのも良いな!

団子うま!

しっかし……」


 夢の続きね。


 私が誰よりも良く知る黒目に、白髪混じりな黒髪をした初老に差しかかりかけたばかりの旦那さんが、ニカッと笑う。


 私が生んだ3人の子供達は、皆20代前半で子持ちになったの。

だから年下だった旦那さんは、まだまだ若いお祖父ちゃんだったのよ。


 旦那さんの視線を追って部屋の奥を見やれば、可愛らしい幼子達が大の字で寝転がっていた。


「ふふふ、今年も孫達は撃沈してしまったわね。

今年もまた2人でお月見だけれど、あの子達の可愛らしい寝息と虫の声を聞きながら、あなたとこうして過ごす時間も幸せよ」


 同じように年を感じる手を口元に当てて、クスクス笑う。


 今日は十五夜だから、それらしくススキとお団子を飾っていたの。

ススキは孫達と散歩しながら、旦那さんが摘んできたわ。


「ま、まあ、あいつらが爺婆のとこに喜んで泊まるのも、今くらいだろうしな。

俺としちゃ爺婆水入らずを邪魔してくれても……うーん……まあ月見は、今の方が良いっちゃ良い」

「あらあら」


 途端、早口になる旦那さん。

素直に気持ちを吐露する妻に照れたのかしら。


 17年生きた前世の記憶があるからか、それとも旦那さんの方が年下なのもあってか、初めて会った頃からずっと、この後もずっと可愛らしいと感じていたわ。


 年を取っても仲睦まじく過ごせるのは、前世で見ていた政略結婚を主とする貴族とかけ離れた関係かもしれない。


 前世の記憶を持ったまま、この世界に転生して暫くは驚きの連続だった。


 けれど前世の両親には、疑うべくもなく愛されていると感じながら育つ事ができた。

旦那さんともこんな風に、死ぬまで夫婦として過ごせた事は……素直に心から嬉しいと思える。

運が良かったとも思うの。


 子供だけでなく、孫達もこうして遊びに来てくれていたのも、また幸せな時間。


 夢の中ではついつい、ひ孫ができるまで先は長いものの、長生きしていればひ孫とも、なんて未来を想像しているわ。


 もちろん現実ではこの十数年後、ひ孫だって遊びにきてくれたのだけれど。


 旦那さんが先に亡くなった後もそう。

きっと私が寂しくないようにと、家族達は想ってくれていたんでしょうね。


 愛しい両親。

愛しい旦那さん。

愛しい家族達。


 ただ感情のままに愛し、愛される事も、幸せな未来の時間を想像できるのも、こんなに幸せな事だったのね。

いつもご覧いただきありがとうございます。

短いですが、本日2度目の更新です。

もしこちらを先にご覧の方は、1つ前もご覧下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ