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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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418.実は決まっていない

「ところでマリーちゃん。

お昼のお店が繁盛するようになったら、多少の人手も必要ではない?」


 マリーちゃんの様子を窺いつつ、本題を持ちかけてみる。

アイスプラントの出荷先確保が本題ではないの。


「まったく、文化祭のメニューの試食とか言って私を引っ張り出したのはその為かい」

「ふふふ、だってマリーちゃんの実家のお店は、学園から近いもの。

メニューの数が少ないなら、マリーちゃんだけでも対応できるでしょうし、うちのクラスの学生なら文化祭でラーメン作りにも携わるわ。

使い勝手の良いアルバイトはマリーちゃんにとっても美味しいし、本当はまたお昼に自分でお店を切り盛りしたいんじゃないかと思って。

学生にとっても学業と両立しやすいのはもちろん、どこかのカフェ店のように長期休みに期間を限定してくれるなら、朝から夕方まで健全に労働力を提供できるはずよ」


きっとマリーちゃんは薄々気づいていたと思うわ。

先に期間限定の開店を話してくれたのはマリーちゃんだもの。


「そうだね。 毎日昼に何かしらの飯屋やって、夜は両親の飲み屋を手伝う生活は、かなりハードだったんだ。

私ももう年だし、今は独り身だから雇うアルバイトを1から仕込むのもつらい。

最初から戦力になる学生達に入ってもらって、春休み、夏休み、冬休みにだけ、夜の飲み屋を開店する前までラーメン屋にするならできそうだ」


 マリーちゃんの言葉を聞いて、チームメイトにして同じ2年Dクラスの3人に微笑みかける。


「ふふふ、雇用先も確保できたわね」

「はい!

マリーさんの方の話が進んだら、他の同級生にも声をかけてみます!」


 夏のカフェ店だけのアルバイトでは生活の苦しかったカルティカちゃんが、元気良くお返事してくれる。


 危険な魔獣討伐戦に参加して怪我をしちゃう学生もいるわ。

皆が皆、冒険者や傭兵を目指すわけでもないから、どうせなら学園から近い、命の危険がないアルバイト先は多い方が良いはずよ。


「卒業研究の方にも加えましょう、公女」

「もちろんよ」


 ローレン君の言葉に賛同する。


「アイスプラントと音波狼の流通経路を他のクラスメイトと話しておく」

「お願いするわ」


 音波狼はもちろん冒険者ギルドと相談が必要だけれど、アイスプラントも含めて流通経路を確保するには、対象の土地に関わる領主や商業ギルドとも話を通す必要があるの。


 上手く流通経路を確保できて、ラーメン文化が浸透すればお店の暖簾分けみたいな事もできて、チェーン化も……おっと。

これはまだ早いわね。


 前世での私は独身時代、経営コンサルタントをしていたの。

結婚してからは辞めてしまったのだけれど、今世ではユストさんや他にも何人かにアドバイスしてきたから、きっとそのせいね。

ついつい、ずっと先の事業計画を立てそうになっちゃう。


「それじゃあ俺達チームは、文化祭の出し物をラーメン店で候補に出す。

良いか?」

「「もちろん!」」


 いつの間にか麺もスープも完食したラルフ君が、同じく完食した2人に確認すれば、元気良く返事が揃う。


「それじゃあ、ラーメンの料理工程を書いた計画書を、クラスの文化祭企画会議までに渡すわ。

マリーちゃん」

「厨房の方は任せな!

ラビちゃん含めて2年Dクラスの連中なら、仮にラーメンに決まらなくても問題なく料理長は貸してくれるさ!」

「話が早いわ。

何に決まるかはチームリーダーの腕にかかっているけれど、お願いね」

「……ああ」


 ややあってお返事するラルフ君。


 些か難しいお顔なのは仕方ない。

実は文化祭まであとひと月足らずなのだけれど、うちのクラスが何を出店するか、まだ決まっていないの。


 2年生は文化祭で飲食店を出店する事が決められていて、私達のクラスではアイスプラントを使った何かという事だけが決まっている状態よ。

 ちなみに1年生は物販、3年生はテーマパーク的イベント、4年生はお客様として可能な限り全てのお店を周る事が義務づけられているわ。


 4年生の卒業研究発表が終わり次第、来年の年明けの文化祭に向けて、全学年が動き始めるの。


 もし他のクラスと出店が被ってしまうと、Aクラスから優先的に決まっていく仕組み。

だから2年Dクラスが当初予定していたパフェ店は、Aクラスに軍配が上がってしまった。

急きょ練り直しよ。


 明後日うちのクラスのリーダーが集まって、最終決定になるの。

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