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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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331.剥奪〜国王side

幇助(ほうじょ)……言いがかりです』


 私の言葉に、側妃が改めて周囲を見回し、冷ややかに見つめられている事に気づいたようだ。

グッと口元を引き結び、押し黙る。

 

 レジルスにとっての本題に対する根回しは、既に終わっておる。

故に母である王妃も、この場に同席したのだ。


 もちろん王妃は側妃の、ある権限を確実に手中に収める目的もあろう。

まだ幼かった息子の命を危険に曝し、王族故に貴重であった、母子としての時間を奪われた。

その魔法呪の一件に、側妃が一助を担ったと考えておる。


 この春、娘である第1王女が毒殺されかかった事も含め、怪しんでおるのだろう。


 無論、証拠はないが。


 何はともあれ、公女個人への執着を見せる側妃に、この件をどう切り出すか。

大人しくさせるには、まずあの権限を奪うしかあるまいな。


『今、そうなっておらぬのは、ロブール公爵が王家とアッシェ家へ配慮し、事を荒立てずにおるからだ。

それ程に、第2王子は学生を死に向かわせる愚かな意識付けを自覚なく行い、死人が出るという最終かつ決定的な証拠を残しておる。

よりによって数の多い労働階級層からの心象を、あまりにも悪く先導し過ぎたのだ。

このまま公爵が公の場で破棄を宣言すれば、王家といえど、第2王子には罪人として沙汰を下さねばならなくなる。

婚約の相手を憂いておる場合か。

よく考えよ』

『……では、どうすれば……』


 罪人としての沙汰という言葉に、少しは頭が冷えたのか、余を見やる目が縋るものへと変わる。

あと一押しか。


『のう、公爵よ。

婚約の解消で手を打ちはすまいか?

側妃とロブール夫人とで進めた婚約であり、王家とロブール家の合意の元に至った話。

公女が故意に愚息との交流を断っていたのもまた、明白。

ロブール家の責任が無いとも言い切れぬ』

『娘と第2王子との縁が切れれば、まあ、それで?』


 まったく、もの凄くどうでも良さそうな顔をしてくれるな。

さっさと己の部屋に戻りたいと顔に書いておるぞ。


 しかし父娘(おやこ)揃って愚息に罰を望んでおらぬのは、愚息にとって僥倖。


 余にとっては、些か残念だ。


 それ程、愚息はロブール家の当主と公女に、何の爪痕も残せずにおったという事。

ライェビストに至っては、顔の識別ができてなさそうな気すらしてしまう。


 そのような者には早々に、王位継承から遠のいてもらわねばな。


『そんな……しかし、公女に責任がある以上、もう1度初めから関係を始めれば……』


 にしても、諦めが悪すぎよう。

側妃の後ろ盾でもある、アッシェ家当主の眉間の皺が深まっておるぞ。


『側妃よ、それ程に第2王子のした事は、悪辣であった。

更には身の程知らずにも、己の実力を見誤り、蠱毒の箱庭に入り、あまつさえ1人の公子の未来を潰す失態も犯しておる』


 その言葉に、側妃は後ろ盾に視線を向け、固まる。

騎士団長たる威圧が、眉間から放たれておるような顔になったか。

 

『わかるか?

失態だ。

それも己の矮小な自尊心を取ったが故』

『それは……婚約者であるロブール公女の為に……』


 側妃の言葉に、もう良いかと判断する。

無論、この者を切り捨てると決めての事。


『もう良い、黙れ。

側妃よ、王族の一員としてのまともな判断もできぬと、余だけでなく、この場の皆が判断したであろう。

今この場でもって、そなたが持つ息子の婚約者を推挙、任命する権限は、剥奪する』


 思った通りに事が運び、思っていた事を宣言すれば、理解が追いつかなかったのであろうな。

ポカンとした顔になる。


 側妃の立場に代々与えられてきた権限を失うなどと、考えた事もないのようだ。


『……え?

え、はく、だ……陛下?

それは……』

『理解力が鈍ったか?

側妃に認められた権限の1つを、剥奪する』

『なり、ません……なりません、陛下!

どうか……』

『無論、そなたの産んだ第3王子についての権利も然り』

『そんな?!

お待……?!』


 突然、側妃の形の良い唇が、己の意思とは関係なく、引き結ばれた。


『側妃であるという自らの立場をわきまえ、口を慎みなさい、クリスタ。

なんとも、見苦しい』


 不快感を隠しもせぬ王妃が、冷たく言葉を投げた。

無論、王妃の魔法だ。

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