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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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325.何なの、このシチュエーション!〜ミランダリンダside

「女王様とお呼び!」


 全く何の羞恥もなく、再び叫……え、今度は女王様?!

すぐここに本物の王子がいるけれど、良いの?!

小説で言うところの、キメ顔っていうのをリアルで拝んだ気が、もの凄くする!


 __バシン!!

「キャウン?!」


 振り落とそうとする狼を意に介さず、バランスを取る美女の手元では、長くしなる鞭が一変。

先が房のように別れた鞭に変化して、後ろ手に音波狼のお尻に近い、腰の辺りを打つ。


「躾けてやるわ!」


 でもこれはこれで、違う絵面……いい!!


 この見下したような、支配者的なダークグレーの瞳!

魔獣に跨がった事で、スリットからのぞく御御足!

全てが絶対的色気に繋がって、妖艶さがたまらなく……いい!!


 __バシン!!

「キャウン?!」

「ほらほら、私が御主人様よ!」


 御主人様!

ああ……何というパワーワード!!


 でももし……もしも、だけれど……魔獣がヘイン様なら……。


 四つん這いで、鞭打たれる……キャッ。


 思わず両手で顔を隠すけれど、指の隙間からついつい彼を盗み見てしまう。


 師匠と呼ぶ美女に指示された通り、身体強化した彼は、頭の無い魔獣に公子から受け取ったロープを結んで、引きずって行く。

きっとアトリエの方に運ぶのね。


 行きすがら、チラチラと美女を見ている様には、ほんの少し嫉妬する。

彼はそれとなく豚鼻の狼の方にも、目を向けているけれど、絶対彼女を意識しているわ。

だって私と同じ色の瞳には、怯え。


 そして狼を見る時には……ほの暗い羨望が垣間見える。


 もしも……美女が私で……私を……そんな風に見てくれたなら……はぁ……堪らなく……快か……あら?


 突如王子が結界魔法を解除して、私と距離を空けた。

それもこちらに体を向けたまま、ザザッと音を立てて素早く後退。


 私、何かしたかしら?

何故だか心なしか、顔が引き攣っている?

よく見れば、こちらへ来ようと歩を進めた公子も……目が合った瞬間、思い切り逸らされて、立ち止まった?


「おい、アレ……」


 美女が狼の頭に鞭を打って気絶させたタイミングで、大男がその隣に並び、私を見ながら話しかけた。


 彼の右手には、短刀が握られている。

向こうにいた狼は、呼吸を止めているから、とどめを刺したみたい。

返り血も無いなんて、捌き慣れている。

やっぱり猟奇殺人鬼なんじゃ……。


「「同類よね(だよな)」」


 美女と一緒に囁き合う声は、とても小さいけれど、もちろん聞こえてくる。


 同類?

私と何かがそうだと言いたいのよね?

私に視線を向けているもの。


「あー、まあ、なんだ。

とりあえず一旦、全員を案内してくれ。

俺は捌き終わったら……」

「話の腰を折るようで申し訳ないが、確認しなければならない事ができたから、すぐにここを離れる。

君達は、妹の知り合いなのだろう?

その肉は、後で妹に調理を頼むのか?」


 公子は殺人鬼が美女に頼もうとした話を遮る。


 それも当然よね。

バシリクスと共に消えたロブール夫人の行方を、次期当主として追わなければいけないはず。


 あの黒い靄から生まれた、黒い少女らしい何かは何だったのかしら?

シルエットだけだった少女には、王子も公子も心当たりがありそうだったし。


 でも、お肉を……調理?

美味しくないはずのお肉に、素材にしかならなそうな翼よ?


「……後で公女に頼もうと思っているが……礼を失していると?」


 しかも調理を公女に頼む?!

それは確かに、同じロブール家の公子として見過ごせないのも頷ける。


 いくら殺人鬼でも、四公の公女なのよ?!

それこそ不敬に……。


「違う。

その……私も欲しがっていると言伝を頼みたい。

食材になるのなら、翼の方も」


 そっち?!

公子で次期当主も公認?!


 それにどことなく頬を染める様は……薔薇!


「俺のも頼みたい」


 ここでまさかの王子も参戦?!

ずっと無表情だったのに、目元が緩んでいるですって?!


 2人の美男子の並ぶ様は、まさに2輪の薔薇!

そして向かい合う猟奇殺人鬼……何なの、このシチュエーション!


「……わかった」


 殺人鬼は了承すると、薔薇達はすぐに踵を返して去って行った。

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― 新着の感想 ―
食いしん坊ズは自分達の分の予約も忘れないのね(ㆁωㆁ*)
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