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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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257.天使と昇華

「天使か」


 うっかり呟いてしまったくらいキュンキュンよ!

キュン死ってこういうのを言うのかしら?!

首筋に当たるふわふわな毛が私を誘っているわ!

きっとそうよ!

いいわよね?

世話焼きオカン鳥がいなくなってハートブレイク中の私を慰めてくれているんだもの!

甘えても、ちょっとだけモフッと吸ってもい……。


「「駄目にきまってる(でしょ)だろう」」


 ……何故わかるのかしら?

見守っていた聖獣ちゃん達が目ざといわ。


『変態ジャ〜ン!

次いってみるジャ〜ン!』


 不意に頭に軽快な声と、ジャ〜ンのあたりでジャララランと何か自然物を使って奏でているような音が響いたわ。


 土の属性の魔法陣を吸収させるのに力を借りなきゃいけない聖獣ちゃんからの催促の念話よ。


 待って、サラッと変態扱い?!


「ラビ、あいつが興味を惹かれてここに来る気になる前にさっさと終わらせて!」


 キャスちゃんの言葉にラグちゃんもウンウンと首を縦に振るわ。


「あいつ……」

「……ほう」


 後ろの男性陣はキャスちゃんの言葉に何かを感じ取ったみたいね。


「ラビ?

てんしいるの?

リアおばさんをむかえにきたの?」


 はうっ……メロメロキュンキュンで私の方にお迎えが来そうよ?!

でも気をしっかり持たなくちゃ!


「いいえ、いるかもしれないけれど、今はいないと思うわ。

そうね、次に移りましょう。

いい、ディア。

これから土の魔法陣を動かすわ。

私達の親和性を高めるのに、あなたに命令するから、全力で私と一緒にいたいって、愛をこめて叫んで。

愛しているでもいいのよ」

「わかった!

ディア、さけぶ!」


 ふふふ、ラブ&ピースで昇華転身ゲットだ作戦よ!


「叫ぶ必要あるかな?

誘導に邪気を感じる」

「……俺も叫ぼうか」

「ふざけないでよね、竜。

それならあいつと共同戦線を張る僕が叫ぶべきでしょ!」


 やだ、モフモフとサラツヤで愛の戦いが……。


「……だからって叫ばないから!

ほら、早く終わらせるよ!」

「……全力拒否……」


 私の視線に気づいたキャスちゃんに一刀両断されたけれど、そうね。


 リアちゃんが火の適性に特化した聖獣だったように土の適性に特化した聖獣は今はいないの。


 だから土の適性も併せ持つキャスちゃんと、ジャ〜ンな聖獣2体それぞれと親和性を高める必要があるわ。


「キャスケット・ベル・ツキナ・ラビ、ドラゴレナ・ラビ。

私の与える祝福に力を添えなさい」


 キャスちゃんとラグちゃんは王女の頃からの契約聖獣だから、長い名前になるのよ。


「任せて!」

『任せるジャ〜ン』


 この聖獣ちゃん達はリアちゃんと違って聖獣としての力を継承させるわけではないから、あくまで魔力を吸収させるだけでいいの。

当然命令の仕方は違うわ。


 最後の魔法陣が黄銀に輝いて発動すると同時にドクリ、と心臓が嫌な音を立てて軋むように痛む。


「……っ」


 ……まずいわ……あと少しなのに……。


「ラビ?!」


 不安そうな声が手元から聞こえるけれど、意識が朦朧とするのを必死に繋ぎ止めるのに精一杯で、表情も取り繕えない。


 けれど……。


『まったくこの子は……ほら、根性入れて踏ん張んな、ラビ』


 そんな声が遠くで聞こえた気がしたわ。


 そうね、リアちゃんの力を無駄になんてできない。

踏ん張らなきゃ。


 ふと聖獣ちゃん達以外の魔力が流れてきたのに気づく。

誰が、なんて考えない。


 やるなら今!

踏んばれ、私!


 持てるだけの魔力を一気に魔法陣へ流して吸収させる。


「ディアナ・ラビ!

土の祝福を受けて昇華なさい!」


 かすれた声で命令を叫ぶ。


「ずっといっしょ!

あいしてる!

おかあさん!」


 可愛らしい告白が叫ばれた。


 瞬間、カッとディアナの体が銀を纏う虹色に光る。


 小さな体の中心から濃度の濃い魔力が渦巻くように湧き起こり、支えていた手に熱を感じる。


「ラビ!」


 大きくなったキャスちゃんが私の手を尻尾でディアから叩き離して9本の尻尾でくるむ。

光を遮りながら熱を浴びたところを治癒させる。


 きっとリアちゃん(炎鳥)の力を継承したからね。


 お父様達を横目で確認すれば、ラグちゃんが水の結界でガードしていた。

ハリセンは腰のベルトに差していたのね。


 そして……すぐに光が消え、この部屋の半分程になったアルマジロが鎮座した。


 白灰色だった体は聖獣ヴァミリアと同じ、鮮やかな赤色基調の5色の光沢を放つ甲羅に変わっている。


「成功、ね」


 それだけ言って、意識を手放した。

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