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25.誰が買ったかミステリー

「ちびっ子王女はあのパッチワークシュシュを何故記念すべきお披露目を兼ねたお茶会につけて行ったのかしら?

確かに素材も作りも高級感はあったでしょうけど」

「そりゃ王女が8歳で幼いし、ゴテゴテ宝石や生花つけとくより年相応だったんじゃない?

このシュシュは当然だけど、あの限定シュシュもそれだけデキは良かったよ。

昼間のお茶会ならむしろ相応しいって判断したんじゃないかな?」

「そうかもしれないけれど、むしろあれを購入してちびっ子王女に渡したのが誰かに興味が出てしまうわ」

「ふーん、そういうもの?」

「ふふふ。

そういうのが気になるのよ、私」


 ミステリー小説だと、知られていない誰かとの繋がりがポロッと出てきたりして、何かが起きた時のヒントになったりするのよ。


 あちらの世界のその手の小説なんて、そんな事の連続だもの。

前世では娘とそういうのを推理して楽しんでいたのよね。


 うふふ、懐かしいわ。

趣味で時々小説を書いて投稿してた時もあったけれど、ミステリーだけは自分では書けなかったの。

そういうの考えつく人って素直に尊敬しちゃうわ。


 それにしてもたまたまシュシュに残っていた私の魔力に気づいた愉快な仲間達の眷族が嫌っている王族を気まぐれに助けたなんて、何のミラクルなのかしら。


 当然だけれど、そんなに何度もカップを落とすなんておかしな事態が起こればそこに目を向けちゃうわよね。


 その場には四公家の子息令嬢もいたらしいし。

今の彼らの代でも必ず1人はいずれかの聖獣と呼ばれる者が守護しているわ。

契約までは誰1人できていないけれど、それだけで魔力的な意味でも性格的な意味でも、聖獣ちゃんと愉快な仲間達と波長が合いやすくなるの。


 つまり、姿を消していても気配で聖獣ちゃんと愉快な仲間達がいるかどうかくらいはバレちゃうわ。


 王族暗殺未遂なんていう大事件でもあり、聖獣関連からは遠ざかった王家からすれば、そんな彼らのうちの誰かが助けたのは慶事でもあったかもしれないわ。


 かといってぬか喜びもしないでしょうけれど。

だって聖獣達が王家を見限った事はトップシークレットのはずよ。


 シュシュの件は恐らくその場で特定されたのね。

四公の中でそのお茶会にお呼ばれされそうな年頃の、聖獣の守護付きの子供が確か1人いたわ。

年ははっきり覚えていないけれど、ちびっ子王女と近いはずよ。


 教育を施されていたとしても、自尊心が制御しきれないのが子供だもの。

聖獣が止める前に何かしら気づいた事を口に出しても不思議じゃないわね。


 そうでなければ私の存在が表沙汰になる危険をその子が守護する聖獣が発生させるとは思えないもの。


 幸運のシュシュとして周知されたのはそのせいね。

それを知ってこの部屋に無断侵入でもしたあの従妹で義妹のシエナが持ち出そうとしたんじゃないかしら。


 何せキャスちゃんのシュシュの仕上げをして、私の魔法を重ね掛けしたのはそのお茶会の後だもの。


 私の魔法のポテンシャルをそこそこ発揮したシュシュだって事には気づいてなさそうで良かったわ。


 防犯の魔法を掛けておいたから、持ち出した後ここにまた自動転移して戻ったのね。

気づかなかったわ。


 あ、キャスちゃんに渡す前に洗浄魔法でクリーニングはしてあるの。

見知らぬ誰かの手垢付きではないから安心してね。


 それよりもうちの従妹で義妹は困ったちゃんね。

あの学園祭で購入したとでも言えばバレないと思ったのかしら?

確かに限定シュシュと同じ要領で作ったけれど、レースだけは違う物だったのに。


「それよりあの泥棒が限定のおまじないシュシュを買う方が無理があるのに、そんなの言い訳に使えないって気づいてなかったの?」

「あらあら、泥棒だなんて。

そこそこ手癖が悪いだけよ。

でもそうみたいね。

だからお兄様が怪しんだのでしょうし」

「うっわ、あの婚約者に相応しい浮気相手だ」

「あらあら、キャスちゃんてば辛辣ね」

「だってあいつら嫌い」

「まあまあ」


 ああ、そこプクッとしたほっぺをツンツン……いえ、家庭内別居は断固拒否しなくてはね。

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