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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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185.ナンパな出会いと大出世

『おう、嬢ちゃん、1人か?

こんなとこいたら人拐いにあっちまうぞ。

お兄さんとちょっと向こうで菓子食いながら……んがぁ?!』


 ユストさんとはそんなナンパな出会いだったわ。

もちろんナンパされたのは私よ。


 5歳くらいだったかしらね。


『ちょっと!

あんた可愛らしいお嬢ちゃんだからって悪さしようとしてんじゃないよ!

大体お兄さんて年じゃないだろう!』

『はぁ?!

いきなり近所のオバチャンが良い感じのボディブロー食らわしてんじゃねえぞ!

悪さって、俺かよ?!』

『それっぽい物言いに顔に雰囲気じゃないか!

また子供泣かす気かい!

元Dクラス冒険者のパンチ舐めんじゃないよ!』

『物言いに顔はともかく、雰囲気はやめろ!

傷つくだろうが!

つうかDでこのパンチかよ!

痛えぞ!

どう見たって保護しようとしてただろうが!』

『子育ても終盤までやってたら腕力上がんだよ!

どう見たって悪さする気満々にしか見えないよ!

いい加減自覚しな!』


 こんな感じの前世の昭和レトロな賑やか下町ムードだったわ。

背景は市場だったけど。


 結局この後一緒に来てはぐれてた使用人が見つけてくれて、ご近所さん同士のかけ合い漫才は終了したわ。


 当時のユストさんは古着関連の商売を始めたものの、顔の怖さでお客さんから遠巻きにされてたの。

で、子供から懐柔しよう作戦をしては連日連敗中。


 おばさんは逆に子供が怖がって寄りつかなくなるから、やめて欲しかったんですって。


 ちなみに私が外に出たのはバイト探しよ。


 私に優しくしてくれる使用人が少しずつ減っていってたから、伝手を頼ってお小遣い稼ぎさせてくれそうな人にかけ合ってもらっていたの。

この使用人も辞める予定だったから、今のうちにと決行したわ。


 その頃にはお邸の使用人達の中でもお母様はヤバイ毒親認定を受けていたから、同情的な使用人の小さな公女を庇いたいのに立場上庇えないっていう良心につけ込むのは簡単だった。


 そして実はこの時のおばさんがこの辺りでは顔の広い人だったお陰で、店番や小料理屋さんでのバイトを斡旋してくれたのよ。

もちろん身分は平民で年齢詐称してね。


 とはいえ未成年の労働規制なんてない世界で、ある意味助かったわ。

平民の子供なら10才いかないくらいで働いてたりするし、栄養不良で小柄な子供も多いもの。


 それからちょくちょくお菓子をくれるユストさんとも話すようになって、実は実家が小さな商会を営んでるけどドレスの発注が減ってきたって言うじゃない。


 だから前世で見たドレスのデザイン画を描いて渡したわ。

ある意味それがデザイナー月影の始まりね。


 ちなみにそれを初めて見た時のユストさんは理解のある大人なお顔でお礼だけ言ったわ。

もっと良い意味の驚いたお顔を期待してた私としては、手応えがないのが気に入らなくてね。


 売れ残ってた古着の布を使って人形サイズでドレスを作って見せたのよ。

まだまだ子供のちっちゃい手では、それが精一杯だもの。


 でも前世では孫にせがまれて某100円均一店やフリーマーケットで仕入れたハギレの布を組み合わせて、お人形作りやそれ用の服に小物にと色々作ってあげてたわ。


 前世のお婆ちゃん時代の腕がなって、他にもコサージュやつまみ細工なんかを披露してしまったの。


 この世界にマネキンを導入したのも実は私よ。


 古着屋さんの店先でマネキンを着飾らせたら、ユストさんの厳ついお顔でも売れるようになったんだから。


 それからね。

気づいたらデザイナーをしてて、前世の元経営コンサルタント時代の知識を伝授してたらいつの間にかユストさんが実家の商会を継いでいるし、改名しているし、今ではなかなかの大商会。

大出世よ。


 もちろん賃金も徐々にアップして、王子と婚約する頃には他のバイトはしなくて良くなっていたわ。


 その時からかしら。


 王家の影をしてる美人オネエ様と知り合って、徐々に買収させてくれるようになって、月影としての活動がしやすくなっていったのは。

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