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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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172.ご愁傷様〜シエナside

『いくらなんでも貴女の方こそ、そろそろ身分というものを考えていただけない?』

『だって、ねえ?

表面上の文字だけを読むという意味ではありませんわよ?

けれどご自分にとってご都合の良い情報しか見ず、都合良く判断なさっている方はお気づきになられないかもしれませんわね』


 養女だと馬鹿にする奴に限って身分を持ち出せば最後は黙る。

少なくとも今まではそうだった。


 なのにこの女は更にクスリと嘲笑った?!


『その上で、ですけれどあの時転移したのは他ならぬ蠱毒の箱庭でしてよ?

なのにあの方が行動を共にしていた被害者達は皆、無傷』


 何よ、それだって運が良かっただけじゃない!

一緒に組んでいたグループがたまたま魔獣の討伐に慣れていて、たまたま聖獣が出てきて、たまたまお兄様が優秀な第1王子と知り合いで、たまたま弟のエンリケを裁くのにニルティ家の次期当主が加わって、たまたま最強のパーティーを組んで箱庭に入って助けたんでしょ!


『それはたまたま運が……』

『加害者の方々がどうなったのかはご存知でしょう?』


 また遮って話し始めたのだけど、マナーがなってないのはこの女の方よ!

こっちは公女なのに下手に出てれば調子に……。


 と一瞬この女に非難轟々だったけど、言葉が進むにつれて途中でその思考がストップしてしまった。


『元公子は蟲の苗床となって箱庭で亡くなり、他のお二方も毒で変色した皮膚は引き攣り、火傷痕も酷くて頭皮も爛れ、箱庭から出た時点で生きていたのが不思議なくらい、無惨な姿だったそうよ。

令嬢はポーションを使った延命を望まず、令息は命は繋いでも修道院へ送られたそうだから長くは生きられないでしょうね。

でもそれがあの箱庭に入った者が常に辿る末路だとご存知?』


 ……そんなの……知っているわよ。


『知らないはずがありませんわ。

お三方共、普段から私に誠実でらした方達ですもの。

ただ、今回は……私への想いが行き過ぎてあんな事に……。

私も責任は感じておりますのよ』


 だって元公子のエンリケは特に私の為に邪魔で無能で生きる価値もないアイツを殺そうとしてくれたわ。

そこ()()は評価しているの。


 けれど……。


 思わずキュッと口元を固く結ぶ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 結局失敗して家から除名された、プライドだけは高くていけすかない、間抜けな男。


 挙げ句最期に私をシュア様の妃に据えようとしたなんて余計な事を言ってくれたみたいね!


 危うく私にまで責任が飛び火しそうになったのよ。


『貴女にとってそんなにも誠実に接してくれた、と?』

『ええ。

勿論お義姉様達には私自身が思いがけず動機になってしまったようで申し訳なく思っていますの。

でも……私はその方々をどうしても憎めなくて……』


 さすがに何度も涙を出すのは嘘っぽいからと、落ちこんだ表情でうつむいたわ。


 そろそろ解放してくれないかしら。

この話をいつまでも引きずりたくないの。


 だってお兄様が戻ってきて、心の距離が更に遠くなってしまったわ。

その理由がエンリケの最期の言葉なのだもの。


 なかなか時間が合わなくて、やっと会えたと思ったら開口1番にその話よ?

前日に何を話したのか、どうしてそうなったのか事細かく聞かれて、まるで尋問。


 もちろん前日のやり取りは()()の言う通り包み隠さず話しているわ。


 本当にあの男、間抜けどころか使えない不良品だったわ!


 他の2人はまあ、あんな程度の低いエンリケの腰巾着になったのが運の尽きだったのでしょうね。

四大公爵家の公子って事にあぐらをかいて大した能力も無いくせに、いつも偉そうだったのに。

あの2人も見限って不良品だけで処理させていれば、あんな事にはならなかったでしょうね。


 ご愁傷様。


『そのような方々がそのような事になったのに、何も行動されないのね』


 何よ、急に後ろの女が呟いたわ。


 瞬間的に睨みつけそうになって、膝に置いた手をギュッと握って耐えた。

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