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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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153.唐揚げ話と牽制

「皆の荷物はしっかり置かれていましたから、魔獣に出くわさないよう気配を隠して移動できましたし。

仮に魔獣と出くわしていても、敵前逃亡できるくらいの装備は準備しておりましたもの。

でもそれ以前に聖獣の気に当てられたのか大人しく隠れている魔獣も多くおりましたでしょう?」

「それは確かにそのようだったが……」


 王子とのナマズのおもてなし料理を食べ終えた後、王子からあの森の周りの結界魔法の説明を受けて一緒に移動したの。


 少し曲解されていたけれど、説明された結界の性質は概ね正解。


 もちろん前々世でその結界を張ったなんて言えないから、素直にフンフン頷いて、適当にびっくりしておいたわ。


 移動の最中、ラグちゃんからチビ蛇ちゃんに助っ人をお願いして誘い出した蛙型魔獣の捕獲と下処理を彼には頑張ってもらっていたのよ。


 自宅と寄付用の食料として欲しいってお願いしたのはもちろん本音。

ラグちゃんの大好物である蛙の唐揚げを作りたかったの。


 結界を通り抜けやすくする為にも、王子の魔力を消費しましょうっていうのは嘘だけど。


 ほら、昔の自分が張った結界でしょ?

その気になればそもそも誰でもすり抜けるように干渉する事くらいできるもの。


 まあそれはともかく、本来の蛙型魔獣って危険度Aランクなの。

でもラグちゃんの気配を察知して面白いくらい縮こまってたし、彼ってばどこぞの孫と違って本当に魔法の才能があったのね。


 楽チンに狩りをこなしていたわ。


 調理の方は帰宅してからよ。

蛙のお肉は血抜きして冷暗所で3日置く方が熟成して美味しいもの。


 ラグちゃんだけじゃなく、居合わせた他の聖獣ちゃん達も一緒に、本来の姿と大きさでナマズの鰻重もどきも合わせて食べてもらったのよ。


 皆喜んで食べてくれたの。

ほくほく笑顔に私も嬉しくなっちゃった。


「そういえば、()()()はもう使ったのか?」


 蛙のお肉の事ね。

何かしら?

彼の目が箱庭でナマズのフライを食べてる時の目に見えるわ。


「ええ。

いくらかは自分で、他はグループの者達や寄付に回しましてよ。

皆喜んでくれましたわ」

「…………そうか。

唐揚げを作ると言っていたな。

もう食べたのか?」


 あらあら?

今の間は何かしら?


「ええ、美味しくいただきましてよ。

お兄様にも食べていただきましたの」


 何だかずっと会話に入りたそうな雰囲気を醸し出していたから、お兄様にも話をふりましょう。


「ああ。

蛙の魔獣肉は初めてではなかったが、あんな風に臭みもなく、旨みを感じる脂がのった肉は初めてで驚いた。

あのタルタルソースもさっぱりしていて良いアクセントになっていた」


 やっと話に入れたのが嬉しかったのね。

嬉々としてあの時の感想を話してくれたわ。


「………………そうか。

あの箱庭で食べたナマズの料理も美味かった。

唐揚げも……美味かったのだろうな」

「ええ、とても。

うちの妹の手料理は美味いので、兄の特権ですよ、殿下」

「そうか。

今度また蛙を狩ってこようと思うんだが、ここに届けるから俺のも……」

「では妹のレシピを城の料理人に手配しておきましょう」

「ミハイル、わざとか?」


 あらあら?

落胆したお顔からの、期待に満ちたお顔からの、今度はお兄様にムッとしたお顔を向けているわ?


 お兄様も今まで王子の話に入らないようにしていたのに、どうしてか食い気味に話してからの、王子の言葉を遮ったわ?


 2人して何か牽制し合っているの?


「ふふふ、お2人は仲がよろしいのね。

1人でも食材を確保しながら過ごしておりましたし、グループ内ではもしもの時の行動については話しておりましたわ。

それに途中からは王子が側にいて、1人では狩れない食材も手に入りましたもの。

王子が私に個人的に謝るような事は何もございませんわ」


 けれど、いい加減話を先に進めてお兄様共々早くお帰りいただきたいわ。


 回復魔法のドーピング効果が切れちゃうじゃない。

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― 新着の感想 ―
 兄『(妹も唐揚げも)やらんぞ』  王子『くっ』
実は第1王子はラビアンジェ大好き?そしてさらに餌付けされちゃった的な?(ㆁωㆁ*)
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