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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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126.許さないけど、怒っているわけではない

「さてさて、次はあの3人ね」

『それこそ放っておけば良い』


 幻覚魔法を解いた私は、ピンクブロンドの髪をさらりとかきあげる。


『大体、あの愚かなアッシェ家の小僧にヒントを与え過ぎだ』


 あらあら?

念話なのにぷんすかラグちゃんに変身したのを感じるわ。


「だって可愛らしかったのだもの」

『……目がいかれたか?』


 まあまあ、どうしてかしら?

今度は不審人物を見るかのような視線を上空から感じるわ。


「まあひどい。

大柄な男子がぷるぷる震えながら虚勢を張るところなんて、可愛らしくてうっかり再起不能なくらい虐めたくなるのが乙女心よ?」

『……それは一般的な乙女心か?』


 くっ、何だか相変わらずの視線ね。

解せないわ。


「も、もちろんよ」


 あらいけない。

虚勢を張ったらうっかり声がうわずってしまったじゃないの。


 一世紀分生きた乙女心が一般的かと言われると、正直ちょっとわからないわ。

でもでも、乙女心自体は有効なはず!


「コホン。

とにかく、よ。

思考回路がとっても単純かつ単細胞なワンコ君でしょう。

しかも今回の一件であの考えなしな王子の護衛騎士になる、公子の身分を配慮された順調かつ最短での王道ルートは断たれたわ」


 本人はまだ事の重大さに気づいてないでしょうけれど、彼がした事はこの国の全ての騎士と名のつく者達がしてはならない事よ。

もちろん見習い騎士であっても許されるものではないの。


 たとえ王子……そうそう、今は私の創作意欲をかきたてる素敵凛々しいお孫ちゃんはうちのグループの皆と一緒に眠らせているから、可愛くない方も孫呼びに戻していいわね。


 たとえ孫がこの森に足を踏み入れるのを強行したのだとしても、ね。


 ワンコ君が孫を無傷で守りきって自力でこの森を脱出したのならまだしも、決してそうではない証拠が孫の体に残ったもの。

私はほんの気持ち毒の威力を和らげて、とっても軽く止血しただけよ。

孫がすぐに意識を取り戻す程度にね。


 金髪組もそんなようなものね。

見える場所に傷痕が残ったところで知った事ではないの。


 家格君も含めてだけど、あの時うちのお孫ちゃんに眠り薬を嗅がせて無抵抗に蟲達の脅威に曝したのは許さないわ。

もちろんお孫ちゃんには守護魔法をかけていたから、蟲達に噛じられても毒液吐かれても無事だったけれど、それこそ正しく結果論ね。


 だってそれをあの3人は知らないもの。


 つまり魔獣避けをあんな時間に故意に奪った事も含めて、私達下級生グループごとうちのお孫ちゃんも殺すつもりだったって事よ。


 彼らの動機?


 そんなものに興味はないわ。

弁解も謝罪も必要ないの。

怒っているわけではないのよ。

中身は一世紀は生きているもの。

若気の至りだってわかっているわ。


 ただそれはそれ、これはこれ。

うちの子達に殺意を明確に向けて実行した時点で、許す理由が無くなったから許さない。

それだけよ。


 でも金髪組の命だけはかろうじて繋いであげたわ。

孫の鞄に回復薬が入っていたのは鑑定魔法で確認しているの。

孫が目を覚まし次第それを使えば、命だけは確実に助かるはずよ。


 でも助かれば、きっとこれから色々苦しむわね。


 助けるのか、助かりたいと願うのか。

どちらを選ぶかは回復薬の持ち主である孫と金髪組の問題。


 それよりワンコ君ね。

むしろ跡形もなく傷を癒やされた彼の立場は悪すぎるでしょうね。


 そこでふと疑問に思ったわ。


 あらあら?

もしかして私、彼の騎士ルートを潰してしまったかしら?


 ……ま、いいわ。

その気になれば騎士になる方法はいくらでもあるもの。

あの単細胞ワンコ君に知恵と忍耐と本当の意味での実力があれば、だけど。


『ふん、あの小僧に王族の護衛騎士が許されるほどの実力などない。

ラビの言う王道ルートとやらを封じられてしまえば、一生なれずに終わるだろうよ』

「そうね。

完全な実力で王族の護衛騎士までのし上がるには、今の彼には色々と足りない所がありすぎるわ。

時間はかなりかかるはずだし、下手をすれば人生がタイムオーバーね」


 まあまあ、ラグちゃん?

私もその言葉には同意しかないのだけれど、なんだかとっても愉快そうね。

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