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闇喰いの呪い
夜が白け始めた時──。
ある街中を、一人の男性が歩いていた。
男性は、腰に剣を携えている。何かに気付いて、不意に足を止めた。
「んっ、あれは何だ?」
男は鞘から剣を抜き、慎重に近付いていく。それは、黒い影のようなのが、腰辺りの位置に浮いている感じだった。
目の前まで来ると、慎重だった男性は、今度は思い切り剣で薙ぎ払うのだった。
「何だぁ、これは!?」
驚くのも無理なかっただろう。
剣で斬った後、黒い影に触れたところだけ、無くなっているのだ。まるで、何かに喰われたようだった。
──その黒い影のようなのは、世界中で発見された。
最初は、警戒体制を敷いて、近付けさせないようにしていた。が、やがて黒い影は各地で広がっていき、人々は魔術によるものだと気付く。
気付いてからは、連日、国の代表と重鎮達が頭を悩ますのだった。
力の無い人々は、この魔術を、闇喰いの呪いと呼んで恐れる。
同時に、この闇喰いの呪いを上塗りしてくれる希望の光を求めていた。