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35話 ん~とりあえず“話だけ”は聞いてやる

 と、待っていたようにトニオが駆け寄ってきた。


「ドルテさんごめんなさい! あの……お見受けしたところ僧侶枠の空きがあるようにみえるんですけど……ボクでよければ使ってくれませんか! 絶対服従しますから!」


 ここまで切羽詰まっているとは、いったい何があったのだろう。


「なあトニオ……王都で何があったんだ?」


「正直に話せば仲間にいれてくれ……いえ、そんな条件を出せる立場じゃないですよね」


 バカ二名よりは処世術というものをわかっているらしい。


「とにかく話してみろ」


 トニオは小さく頷くと、王都に行ってからの事を説明しだした。


 先ほど軽く触れていたが、ザギは詐欺師で地方の若手を潰してまわっていたらしい。パーティーを組む組むと口で言いつつ加入せず、王都に連れて行って豪遊させ、借金で型にはめて南海航路を封鎖したクラーケン討伐部隊に送られたのだという。


 ネプトゥが「あっ」と声を上げた。


「我が沈めた船にこやつらもいたかもしれぬ」


 トニオはなんのことかと目をぱちくりさせたが「続けろ」と促した。


 しかしまあ、運命とはどこでつながっているかわからないものだ。


 クラーケンとの戦いでネプトゥとも遭遇し、船団はネプトゥを攻撃。結果、彼女の反撃に遭って船はすべて沈められてしまったのだとか。


 グスタフはそのときの事故で右腕を折れたマストに潰されてしまったのだという。


 船の残骸を浮きにしてなんとか命だけは無事だったのだが、王都に戻れば借金取りが待ち受けていた。


 船団壊滅の責任をとらされて名声値はマイナスとなり、借金も返済不能レベルにまで膨れ上がってしまった。借金取りに身ぐるみ剥がされ命からがら王都を脱出。


 古巣のラディアにたどり着いた……とのことだ。


「そうか、ご愁傷様だな」


「ボクはついていく人を間違えました! ボクの師匠はやっぱりドルテさんです!」


 男の子ということもあってか、クレスもネプトゥもベラドンナの時ほど苛烈な反応はしなかった。


 だがな――


 二人が許しても、俺が許すかな?


「いやぁトニオの方がいろいろと先に進んでるじゃないか? 俺にはお前の師匠を名乗る資格はないよ」


 少年の顔が青くなる。


「そ、そそそそんなことありませんよ! ずっとずっと別れてから今も尊敬してましたから! ドルテさんがいないと回復のタイミングもうまく計れないし、パーティーがパーティーとして機能しないって、別れてやっとわかったんです。ボクが間違ってました!」


 涙ながらに訴える彼に告げる。


「ほらでもさ……『すみませんドルテさん。あの……ボクもこのままだと陰キャになっちゃうって……』って言ってたよなああああああああ!」


「ひいいいいいッ!」


「この裏切り者がああああ! 童貞の恨みはらさでおくべきかああああああ!」


 俺に気圧されたのか、トニオもその場で膝から崩れる。


 お前は許さんと決めたのだ。仲間っぽい雰囲気出されてから裏切られる方が落差があって痛いんだよ!

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