6-魔法の力
赤や茶色のレンガの壁が特徴の町
ほとんどの家に煙突が付いており、白い煙がもくもくと出ている。
何か暖かい物が食べたい気分だ
今は検査をする為に町に来ている。
検査と言っても直ぐに終わるので、本当の目的は住民登録
他の土地を訪れた時に身分証明書が無ければ、捕まる可能性があるという話だ
俺が異世界に来てから、もう三日もたった
元の世界とこっちでは言語が違うが、神様の能力とかで、読み書きは出来ること
通貨は、銅貨50枚枚=銀貨10枚=金貨1枚で固定ということが分かった
そして、今から検査するのは魔法適正だ
特異者は生まれつき魔法適正が高いので、リースの知り合いの店で測ることになった。
リースってのは、リースィーのことだ
彼女には大変お世話になっている。
『マジックアイテム』と書いてある看板が見えた
あれ?入口から入らないのか?
店の横から裏道に入り、店の裏口を叩く
『ドン、ドン、ドッドン』
少したち、扉が開く
髭の生えたお爺さんが出てくる
背が低いので、種族が違うのだろうか
「なんだ、お前さんか入れ」
見た目の割に声が若い
中に入ると倉庫みたいな場所だった
「要件は何だ?」
「この子の魔法適正を調べにきました」
「この小僧か?いいだろう、少し待っとれ」
そう言うと、奥に消えてった
何かの機械を持ってきた、4本のガラスのパイプが特徴の機械だ
「小僧、ここに手を置いて目をつぶれ、いいというまで目を開けるなよ」
「はい、わかりました」
石版の様な物に手を置く
身体の中を何かが動き回るのを感じた
これが魔力だろうか?
正直、気持ち悪い
「小僧、もういいぞ」
手を話すと気持ち悪さは無くなった
もう、魔法適正検査はしたくない
「リースィー、この小僧何処で拾ってきた」
険しい表情をしている
「この子は、あの方が連れてきた子よ」
「なんだと?はやくそれを言え、くそ、無駄になっちまったじゃねーか」
俺が召喚された事を知ったお爺さんは、また店の奥に消えた
古い本を抱えて戻ってきた
「小僧、名は」
「シュウと言います」
「シュウか...小僧、ステータスオープンと言ってみろ」
何だそれ?魔法か?
「ステータスオープン」
視界の左上に『3』の数字と緑のバーが出てきた
ここって異世界なんだよな、ゲームの中じゃないのか?
よくよく考えると、異世界物でレベル制というのは、あまり珍しくないのか
「出来たか?」
「えっと、この緑のがそうですか?」
「知らん、次にマジックオープンだ」
え?知らないのかよ、お爺さんは使えないのかな?
「マジックオープン」
緑のバーの下に、紫のバーが追加された数字は『17』だ
「数字は、幾つだ」
「17って書かれてます」
「やっぱりか...小僧、お前の適正値は17だ」
「え?17ですか?冗談ですよね?」
リースが動揺してる、そんなに低いのだろうか
「ああ、詳しく言えば、炎4、水5、然4、土4、だ」
「そんなに低いんですか?」
「違うの、高すぎるのよ」
「そうだな、人族じゃなきゃ分かるが、」
「ええ、普通の人は2あれば、国から魔法兵にならないかって来るもの」
リースが動揺してる
それにしても魔法適正2で国の魔法兵か、もしかして大魔導士になれるんじゃねーか?
「理解が出来てない小僧に説明しとくか、魔法適正は炎水然土に分かれてて、1〜3が初級、4〜6が中級、7〜9が上級、それ以上は神のレベルだ」
「てことは、全て中級ってことですか?」
「ええ、そういう事よ」
中級でこんなに凄いのなら上級はどんなレベルなんだ?
「さっき言っていた、人族じゃなければってのは?」
「エルフなどの元々魔法適正が高い種族は、生まれつき中級以上有るって事だ」
「私も人じゃないので、生まれつき高いですけど...」
「え...人じゃなんですか?」
驚いた、てっきり人だと思ってた
「なんだ、お前小僧に言ってなかったのか?」
「はい、私の種族はイエロアーダで、適正値は水が8、他は3です」
「は、8?」
「はい、生まれつき水に特化した種族なんです。」
中級で大魔道士になれるとか浮かれていた自分が恥ずかしい
その後、住民登録を済ました
魔法適正は水が5、その他は1と、種族は人族とイエロアーダのハーフと申請を出しておいた
イエロアーダとのハーフなら水が少し高くてもあまり問題には、成らないが他の適正値が高いと転移者とバレる恐れがあるからだ
イエロアーダは、氷精霊みたいな意味です。