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帰宅部のあるようでないようで地味にある活動内容

「それでは、改めて! 帰宅部の活動を始めましょう」


 帰宅部の活動って、家にまっすぐ帰りましょう、じゃないのか?


「今日は桜井君の為に、一から部の活動内容を説明するね」

「ありがとうございます」


 水野先輩はおもむろに立ち上がり、部室の前に移動した。


「ええと、帰宅部の活動内容は、分かってると思うけど家までまっすぐ帰ることが活動内容なの」


 そりゃそうだろ。じゃなきゃ帰宅部って名前じゃない。


「で、今のが学校側が定めた物で、帰宅部にはルールみたいな物があります」

「ルール?」


 何じゃそりゃ?

 ルール? 決まりごと的な?


「これは先代からやってきてる事だからね。ちゃんと守ってください!」


 そう言って人差し指を立てる水野先輩。ああ、その仕草一つが可愛い。

 そんな感じで、俺が頬を緩めてる間にも説明は続く。


「帰宅部のルール、一個しかないうちの一つ!」


 一個しかないのに回りくどいな! というツッコミは心の中にしまっとこう。


「決めた事はちゃんとやる!」

「……」


 案外真面目だな。ここまでのノリを考えたら、もう少しお茶目なのが出てくると思ったが……

 しかし、大雑把すぎて意味が分からん。


「あら? あまり分かってなさそうな顔ね。大丈夫ちゃんと説明するから」


 分かってなさそうじゃないんです。分からないんです。


「例えば、ちーちゃんが塾サボってでもある映画見に行きたい! なんて言ったら必ず見にいかなきゃいけない、みたいな感じよ」

「えらい不真面目な例え!?」


 クッ! うっかりツッコんじまった。しかし、今の例えは明らかに水野先輩の経験談だ。だって言い終えてため息ついてたぞ!


「でも、大事な用事があるとか、お金が無いなどのやむ終えない状態の場合は参加する必要はないよ」


 しかも、えらく緩いし!

 なんだよ! 決めた事はちゃんとやるって! ガッチガチのルールかと思ったら、ゆっるゆるのルールじゃねぇか!?


「そ、そうですか。分かりました」


 何か釈然としねぇ。


「よし! じゃあ今日は優雅君も入った事だし、どっかで遊んで晩飯を食べよー!」


 いきなりの田端先輩の提案。成る程、こんな感じに誘われて暇なら行くって感じか。


「私は大丈夫よ」

「俺もオーケーです」


 俺と水野先輩の了承を得て、田端先輩はニカっと笑う。

 でも言わせて欲しい……なにが決めた事はちゃんとやるなのだろうか……これはただ遊ぶ約束なだけだろぉぉぉ!


「いよ~し! それじゃまずは~ファミレスで行こ! ファミレス!」

「ファミレスね。分かった」


 田端先輩すげぇテンション高いな。今、高いな、の後ろに思わず(笑)を付けたくなるくらい高いな(笑)


「どこのファミレスですか?」

「え~と、この前駅前にできた新しいとこなんだけど……」


 ん? 駅前にできた新しいとこ、といえば……


「あの制服が可愛いとこですか?」


 俺がそう言うと、田端先輩は指をパチンと鳴らす。


「ああ! そうそう、制服が可愛いとこだよー」


 思い出したようで何よりだ。とか思ってたら、田端先輩がニヤリと笑う。

 何か嫌な予感。


「優雅君ってさぁ、いい趣味してるねぇ」


 ハッ! しまった! 自爆ったか!?

 確かに、あそこの制服はメイド服っぽくて少々マニアックだ。


「ハ、ハハ、先輩、何言ってるんですか?」


 乾き笑を出す俺に田端先輩は容赦なく問い詰める。


「え~? 何を言ってるかだって? 詳しく叫んで欲しいの?」


 ヒィ! この人怖いよ! 


「すみませんごめんなさいそれだけは勘弁してください」


 我ながら超早口だったと思うよ。


「ねぇ、さーちゃん、この男の子どうしちゃうよ?」


 だぁぁぁぁぁぁぁぁあ! そっちには、そっちには話を振らないで! 水野先輩に引かれる!

 って、ん? 水野先輩どうしたんだ? ぼーっとしてるけど。


「? さーちゃん、どしたの?」


 田端先輩が呼びかけるとハッする水野先輩。


「あっ! ごめん!」

「もう、どーしたの?」

「いや、二人とも仲良過ぎだから前にどこかで会ってるのかなぁ、とか思ってて」


 確かに、初対面にしては田端先輩と俺はかなり息が合ってる。

 しかし、会った事は一度も無い。


「別に会った事ないよ……ねぇ?」

「ええ、ないです。」


 確認の為か、田端先輩は俺に話を振った。


「まぁ、ファミレスに行きますか!」


 こうして、俺たちは、『一度家に帰ってから』駅前に集合した。これ重要な。帰宅部は家までまっすぐ帰らないとダメだから。

 くそっ! 案外、帰宅部の活動めんどくせぇ! いちいち帰えんなきゃいけないのかよ!


「お待たせぇ!」


 一番最後に来たのは、一番家が遠いらしい水野先輩だった。

 てか、ヤバイです。

 何がヤバイかって? 教えてやるよ。先輩方の私服が可愛い過ぎてヤバイんだよぉ!

 水野先輩は白を基調としたワンピースで田端先輩は黄色のTシャツにショートパンツだ。ショートパンツやばい。太ももから目が……目がァ!


「二人とも服、似合ってますね」


 これ、男なら言わなきゃいけないセリフだろ? 太もも見てたくせにだって? それだって男がやらなくちゃいけないことさ。


「やだぁ!優雅君褒めても何も出ないよ!」

「フフ、ありがと」


 対象的な反応に思わず笑ってしまう。

 てか、田端先輩、背中叩かないで、痛い。


「ま、揃った事だし行こうか!」

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