第二章 その2
今日のことが書いてあるページが過ぎ次のページをめくったそこには9月16日と書いてありその日の朝木さんの行動がびっちりと書いてある。
やはりあった。この本は普通じゃない。僕の背筋がぞっとした。16日のページには、深夜寝ている時間から書いてあり、起きる時間からはその日の朝木さんの行動が気持ち悪いくらいにびっちりかいてある。
この本が朝木さんの運命を記した本ならば、ここに書いてある事と同じ行動を学校ですると言うことだろう。僕は何ページかめくりまず学校に着く時間が書いてあるところを探した。
そこには朝木さんは、8時13分38秒教室にはいると書いてある。こんな目立つ本を学校には持っていけない、僕はノートにメモをとった。本当に明日朝木さんがこの本に書いてある時間のとおりに来るのかこれを確かめるだけでもこの本が偽物なのか本物なのかが分かる。
続きを読んでいくと出鼻をくじかれたようなことが書いてある。僕が明日遅刻して担任の先生に怒られているところを見ると書かれている。これが本当なら朝木さんの来る時間を確かめることが出来ない。でも考えようによっては、僕が遅刻をしなけれもうこの本が偽物だと言うことになる。この本が偽物だと言うことを自分で証明すればいいことなのだ。明日早く起きれるように今日は早く寝よう。僕が教室に入る時間は8時35分12秒だ、僕はメモを取った。
そのあとは一時間目の数学の授業で9時26分28秒に先生に問題の答えを言うように指され6.21と答えると書いてある。その授業の時に9時31分16秒にあくびをすると書いてある。そのあとも事細かく朝木さんの行動が書いてある。3時間目の体育のページにはちょっと信じられないことが書いてあった。縄跳びをすると書いてあるがそこで僕と朝木さんが何回飛んだかを数えるためにペアを組むと書いてある。
そういえば明日の体育の時間は縄跳びをするので縄跳びを用意するようにと言われていた僕はすっかり忘れていた
それにしても僕はペアを組むと言ったらだいたいが祐太とだ、なぜ祐太とくんでいないのか。僕はページをさかのぼって読んで見たが祐太のことは書いていなかった。いったい祐太はどうしたのだろう。
この本が運命が書いてある本ではなければ良いという思いがある一方、このことが本当であって欲しいという思いが生まれてくる、あの朝木さんとペアを組めるなんて男子を避けている朝木さんと男の僕がペアを組める何て夢のようなことである。詳しく読んでみると、僕と朝木さんがペアを組む人がいなく余ったらしい。それで僕と朝木さんがペアを組むことになると書いてある。これが本当なら嬉しいし、なんだか想像するだけで今からどきどきしてきた。祐太には申し訳ないが……
でももう一度冷静に考えてみればこれが運命が書いてある本と決まったわけではないし、そもそも本に書いてあるとおりのことが起こるなんて現実問題あり得っこない話だ、きっと頭のおかしなストーカーが妄想でおかしなストーリーを作り上げて楽しんでいる、そう考える方が妥当だ。だから僕はこの本は頭がおかしなストーカーが書いた物だと証明するために明日学校へ行くのだ。
だがこの妄想のストーリーを読むのも退屈しのぎには十分だ。もっと縄跳びの部分を詳しく読むと、色んな飛び方をして回数を図るらしい綾飛びやら、二重跳びやら、片足飛びやらだ。僕が何回飛んだかまで詳しく書いてある。綾飛びは34回、二重跳びは59回片足飛びは右が92回だ。左足で飛んだところは書いていない。なぜだろう……
朝木さんは綾飛びが8回、二重跳びが5回、そして片足飛びの部分で朝木さんが右足首をひねりねんざすると書いてある。15回目を飛んだ時に着地する際にと書いてある。それで左足では飛ばないと言うことになっているのか。どれだけ手の込んだストーリーなんだ。気持ちが悪い。
これもメモを取ったそして僕はバタンと本を閉じた。
僕は少しの間、ボーとしていた。その時僕はハっと気が付いた。そもそも朝木さんのストーカーが書いているならなぜ僕たちの名前まで知っているのだろう。
もしかするとそのストーカーは僕らの近くにいる人間かもしれない。たとえばクラスメイトとか。僕はストーカーをしそうなクラスメイトは誰なのかすぐに浮かんできた。思い当たるヤツは1人しかいない。携帯に少女ゲームのキャラクターストラップを付けているアニメオタクの飯山だ。




