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第一章 その1

運命とは存在するのだろうか……

それとも人生は単なる偶然による積み重ねでしかないのか?

それは誰にも分からない。

ただ一つ分かっていることは、未来は誰にも分からないと言うこと。でももし運命が存在し、そして未来が分かってしまうとしたら……


第一章 その1


 朝のホームルームが終わり10分の休み時間の間、相変わらず祐太はある1人の女の子の話に夢中になっていた。

 祐太は、体ごと窓際の方を向いて左肘を僕の机の上にのせながら、女友達と窓際で話している朝木さんを愛おしそうに見ながら言った。「かわいいよなぁホント朝木さんて、なぁ翼」

「あぁ」僕は素っ気なく返事をした。

「めっちゃ美人だし物静かで清楚な感じが何て言うか理想の女性って感じだよなぁ、うんやっぱりいい」

 朝木さんは友達の話に調子を合わせるようにうなずきながら、たまに笑みを浮かべ談笑すると言うよりは、毎回友達の話の聞き役になっているという感じだ。

「ふぅんそうか?」

僕はいつものように興味がないふりをした。

「昨日なんて俺が携帯落としたら、携帯落としましたよって拾ってくれてそのときにさぁ……」

祐太は笑顔を浮かべながら僕の顔をじっと見つめた。

「なんだよそれで」

「手と手がふれあっちゃったんだよぉ、もぅまいっちゃうなぁ」

祐太は興奮しながら僕の肩を何度も揺すった。

僕は笑いながら祐太をあしらった「はいはい、わかったわかった」

「朝木さんとこうして同じ高校になった……何か運命感じちゃうなぁ」祐太は感慨深げに天井を見上げた。

「運命ねぇ」僕は少し不満そうに言った。

「なんだよ翼、何か文句でもあんのか?」

「い、いやないよ別に、ははっ」

 運命……僕は運命という言葉が実は嫌いだ。運命なんてそもそもあるのだろうか。俺はたまに冷めてるなんて言われることがある。占いや手相だって信じない。そんなもので自分の運命を決められたらたまらない。もし運命という物があり、全て自分の運命が決められているとするならば、夢に向かって努力することだって無駄と言うことになる。あいつは成功する運命だった、俺は成功する運命ではなかった、それで終わりだ。初めから運命が決まっているならそんなの不公平である。

 僕がそう言う考えなのには理由がある。僕には夢があるからだ。将来はプロのフットボーラーになるんだという強い思いがある。だから運命なんて信じないし、結果がどうなるかは自分次第、未来は自分で切り開いていく物だ、そういう考えを持っている。

少なくともそう言う考えでいれば何かに挑戦して壁にぶち当たって諦めそうになっても、{これは運命だったんだ}なんて諦めることもない。

{もっと頑張ればいつかこの壁を乗り越えられるはず}そう思える。 少なくとも、運命を信じる人生よりも信じず未来は自分次第だと思って生きていた方が、よりいい人生になるのに間違いはない。だから僕は運命なんて信じない。これが僕の人生哲学なのだ。

だから祐太の運命かもしれないという発言に僕は納得できないのだ。

 それにしても祐太は朝木さんの話になると、とても興奮する。それに手と手が触れ合ったのだから今日はいつもの十倍くらいだ。祐太の朝木さんの話には慣れっこな僕でもさすがに今日はめんどくさい。でもまぁ興奮するのも無理もない。僕たちは高校一年でまだ女性と付き合った事が無い。

 それに学年いや学校一の美人朝木ゆいと手と手が触れ合ったのだから、テンションがおかしくなるのも、無理もない話だ。

 実は祐太には言っていないが、いや言っていないと言うかこの状況で言いだせるわけ無いが、僕も朝木さんを一目見ただけで好きになってしまった。いわゆる一目惚れってヤツだ。

 いつか付き合えたら何てそんな夢見たいな事を思っているが、でも祐太があの調子だ。

「俺も実は……」なんて言えるわけもない。


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