飛行機の龍樹5
今日1日のフライトを終え、僕が格納庫に帰ってくると、突然声をかけられた。
「久しぶり龍樹」
声のほうに振り向くと、以前別れたツバメがいた。
「約束通り、春になったから会いにきたよ」
「また会えて嬉しいよ」
「南の国で体験したことが色々あるけど、聞きたいか?」
「うん、聞きたい」
僕の知らない景色、人々、生き物。
ツバメはいろいろ話してくれた。
「へぇ、楽しかっただろうなあ。僕も行ってみたいなぁ」
「楽しかったから龍樹も行ってみたら?」
「でも、僕は国内線だから行くわけには……」
「そっかぁ。龍樹は国内線だから行けないんだぁ。残念だねぇ。」
龍樹とツバメは龍樹がどうにかして南の島に行けないものかと、二人で相談した。
「龍樹、いいこと思いついた」
「なに、ツバメ君」
「国内線をやめて、国際線に変わったら?」
「いいアイデアをありがとう、ツバメ君」
そして、僕は国内線から国際線に変わった。
そのことをツバメに伝えると、ツバメはこう言った。
「良かったね龍樹。これで南の島に行けるね」
そして、当日。僕はたくさんのお客さんを乗せて南の島へ行く準備をした。
離陸直前のとき、ツバメは滑走路のそばまで来て僕を見送っていた。
そして、僕は、元気よく南の島へ飛び立って行った。