第18話 誠一の苦難
「え・・・。はぁ??」
誠一はやや呆れてしまう。
さっきは襲ってきたと思えば、今度はこのパンツを要求するのか
もう既に服を上まで着終えていた自分にとって、
また脱いで渡すというのは二度手間だった。
それになんだか嫌だった。
「どうしたの?早くちょうだい。」
そうして頭を悩ませている間に、彼女は催促をしてきた
「しょうがないか」
せっかく着たズボンを降ろそうとする。
しかし・・・。
「ちょっと。お兄さん。何しようとしているの??もう私、しないからね」
ジト~っとした視線と共に軽蔑の言葉を掛けられる。
もうそういう気分じゃないのかもしれないが、あまりにもひどい言い草。
さっきまで自分のことを襲ってきたものの発言とは到底思えない。
どころか、逆に自分が襲ったかのような・・・。
だったら、さっきのパンツとは何のことなんだ??
「お兄さん。替えのパンツはないの??」
彼女は全然その言葉の意味に気付いていないと察したのか、
そんなことを言ってくる。
あ、そういうこと・・・。
俺はやっとその意味に気づいた
しかし、この部屋は一応客間なのだ。
そんな替えのパンツがあるはずもなく・・・。
どうしたものかと悩む。
「少し待っていてくれ。探してみるよ」
もう完全に着替え終わった誠一は、辺りを見回し、動き始める。
九蘭の間には、部屋の掃除をする時くらいしか入ることはなかった。
ただ、一応ここはこの屋敷に来た者たちを休ませるための客間であるわけで、
この大きなベッドも夫婦の来客用にと用意されたもの。
何かあるはず…。
部屋に置かれたクローゼットを開く。
何も入っていない。
引き出しを開く。
やはり何も入っていない。
それもそうだろう。
そんな不必要に女性物の下着をあまり使わない部屋に置くわけがない。
やや諦めの境地に達しようとする中、トイレへ向かう。
トイレの引き戸を開ける。
「あ、これは!!でも・・・。これは・・・。」
誠一はまたしても頭を抱え、目の前のものをじっと見据える。
誠一はそっと引き戸を閉じると、ベッドルームへと戻る。
彼女に下着がないことを伝えるために




