第17話 正の苛立ち
「痛い・・・。ちょっと激しくしすぎちゃったかなぁ。
あ、お兄さんもう襲ったりしないからそんな怖い顔しないで。」
誠一は驚きの眼差しを向けてしまう。
さっきまで半ば無理やり襲ってきた女の子とは思えない発言だったから。
もしかしたら、油断させておいて・・・。
そこまで考えるも、股を抑えながらほんの少し涙を浮かべている彼女の姿を見て、
本心を言っているのだと思い直す。
「そ、そうか。うん。それならまあ・・・。」
誠一は臨戦態勢を解き、正に近寄った。
ドアを叩く音は一層強まっていく。
「うるさいなぁ・・・。」
寝起きの頭にこれほどにドアを叩く音が響くとは思わなかった。
さっきまで気持ち良かったはずなのに、今は少しだけ怒りを感じてしまう。
(股は痛いし・・・。うるさいし・・・。最悪。)
正はさっきまで後生大事に抱えていた男物の服を誠一にやや強めに渡すと
「早く着て」と口調に苛立ちを乗せて、言ってしまう。
同時に布団の中に包まって消えてしまった自分の下着を探し始める。
すごい変わりようだ。
さっきまで甘えた子猫のようだった目の前の少女は今
明らかな怒りを見せている。
まるでさっきまでの光景が全て嘘であったかのような態度の変化。
(女の人って案外怖い生き物なんだな。
まあ、なにはともあれ服を返してくれたのは助かった。)
正の変わりように恐れを覚えるが、この状況を打開するためにと折り合いをつけて、
彼女の言うとおりに着替えを手早く済ませていく。
「あれ?ないじゃん。」
どこへ消えてしまったのだろう。
あるはずの下着が布団の中に見当たらない。
完全にその消息を絶ってしまった下着に困惑する。
「あれ?やばいなぁ。」
このままノーパンでドレスを着るか。
快楽の渦に身を任せて脱いだドレスは難なく見つかった。
というよりも、ベッドの下に脱ぎ捨ててあったのを拾っただけなのだが・・・。
しかし、下着が見つからない。
簡単に見つかると思っていた当てが完全に外れる。
ノーパンを考えるも、衛生的に良くない。
ましてやさっきまで楽しんでいたことを鑑みると、このままパンツを履かずに
ドレスを着用なんてすれば、下手をすれば中で入り混じった愛液と精液の混合液が
付着してしまうやもしれない。
それだけは“女”として避けたいところだった。
これだけいいドレスを汚したくなどなかった。
(しょうがないな。)
正はしばし逡巡した後、誠一の顔を見据えながら、言い放った。
「ねえ。お兄さん。パンツちょうだい」




