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トランス  作者: アキラ
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第12話 琢磨の当然

俺と犬は男性に導かれるがまま、後についていくことにした。


「ほほほ、それにしても今日はお客様が多いようじゃのぉ。

君たちの前にはお嬢さんも来とったしのぉ。」

男性は親し気に話しかけてきた。

その様子からはもう先ほどの怖さは微塵も感じられず、

近所のおじいさんと接するときに近い感覚だった。


「そうなんですか。そのお嬢さんはどんな格好だったんですか?」

とりあえず、男性にそのお嬢さんの格好について聞いてみた。

おそらく正の事だとは思うが、それでも確証が欲しかった。

もしも違う人であれば、ここに長居をしている暇もないのだから。


「そうじゃのぉ。わしも遠くの方から見たから見ていたものじゃから、

細かなところまでは覚えていないのじゃがのぉ。

あのお嬢さんの着ていた服は学校の制服だったかのぉ。

それも男物の制服だったのぉ。」


男性のその言葉を聞いた瞬間、そのお嬢さんは正の事だとやっと確信を持てた。

男物の制服を着ながら、外にいる女子高生なんてそんなにもたくさんいないだろう。


「ほほほ。もしかして君はお嬢さんの家族かい?

今の君から感じ取った雰囲気はそういう印象を受けたのじゃが・・・。」

「は、はい!!そうなんです!おとう、いや妹だと思います。」


話が早くて助かった。

ただ雰囲気から感じ取ったという言葉の意味は分からなかったけれど・・・。


「そうかそうか。君は優しいお兄さんじゃのぉ。

こんな見ず知らずの場所に入ってまで、妹さんを探すとは、

なかなかできんと思うぞ。怖い想いもさせてしまったことじゃろうし。」

「優しいだなんて、そんなことないですよ。

俺は兄として当然のことをしているだけなんで。」

「ほほほ。それを当然のことと言い切るとはすごいのぉ。」


男性の眼差しは暖かいものだった。

まるで俺に誰かの面影を映しているかのような。



「ここが入口じゃ。ちょっと待っておるのじゃ」

男性はそのまま入口に入っていった。

残された俺と犬。


犬は先ほどまではどんどん先に進んでいっていたが、

今回ばかりは男性の言うことを聞いて、動こうとしなかった。


「君たち、これを。」

男性はそれから数分も経たないうちに出てくると、何かを俺に手渡してきた。

そこには来客者と書かれていて、首に賭けるように促された。


俺は自分と犬の首に、そのプレートを掛けた。


「すまないのぉ。最近はちと物騒になってきているものだから、

これがないと入れてはいけないことになっているんじゃよ。

さぁ。これで十分じゃ。入ってきなさい。」

男性の言葉に言われるがまま、俺と犬は屋敷の中へ足を踏み入れた。



屋敷の中は外と同じで規格外の大きさを誇っていた。

家の中なのに巨大なシャンデリアが無数に屋敷の中を照らしていたり、

見渡す限りにたくさんの部屋の扉が立ち並んでいた。


俺と犬は男性に促されるがまま、長い廊下を進んでいき、

その中の一つの部屋へと通された。


「ここは客人を出迎えるための部屋じゃ。ゆっくりとくつろいでいてくれ。

わしは別館にいるらしい君の妹を呼びに行ってくるからのぉ。」


男性はそれだけ言い残すと、部屋から出ていった。

机の上にはいつの間にか用意されていたお茶菓子と紅茶が置いてあった。


俺は走り回って喉が渇いていた。

けれども、だからといって、勝手に飲むわけにはいかない。


しかし、そんなことを男性は見通していたのだろう。

机の上には「妹さんが来るまでそこの紅茶とお菓子を食べておきなさい」と

書置きがあって、俺は安心して、その好意に甘えることにした。


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