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トモダチに…  作者: 紫月
8/8

*After story*

それぞれの途へ進んだその後のお話です。

彼氏目線で描きましたが、不自然な点等あるかもしれません(^_^;)

気紛れにでも読んで頂けると幸いです(*´▽`)




俺がアメリカに来てから3年が経った。

あの日、最後に抱き締めたあいつの匂いを、温もりを、感触を……俺は今でも覚えてる。自分でも未練がましいとは思うけど、未だにあいつを想い出にはできない俺がいる。

あいつが俺の手荷物に紛れ込ませた1通の手紙。飛行機の中で見つけたそれを、俺は部屋で唯一、鍵のかかる引き出しに大事にしまってある。あれはあいつの覚悟だったんだろう。

きっともう、俺たちが恋人に戻ることはない。手紙を読んで、そう思った。俺たちの恋は、終わったんだ……と。

俺がこっちに来てから、国際電話は俺たちには少し高いと言うことで、エアメールを使って文通を始めた。まぁ、お互いに忙しいことが多いので、月に1度、近況報告をする程度だが。それでも連絡を取れるのは嬉しいことだ。今日届いたばかりの手紙を手に取り、封を切る。中身を読んで、俺は一瞬固まった。

「……あ?」

それは婚約の報せだった。同封されていた写真を手に取る。写真には幸せそうな笑顔が2つ、並んで写っていた。

「遅いんだよ、ばーか」

「どうしたの?」

苦笑しながら呟いた俺に、後ろから声が掛かる。

「いつもの彼女?」

そう言って背後から覗き込んできたのは、俺と同じようにアメリカ留学に来ている日本人の少女。

俺は『うん』と言って振り返り、彼女に写真と手紙を見せてやる。

「…婚約? やっと踏み切ったのね!?」

嬉しそうに笑いながら、まるで自分の事のように喜ぶ彼女に、俺は言う。

「式に出席してほしいから、帰国予定を教えろってさ」

「2人は仲良しだもんね。お土産、よろしくねっ!」

満面の笑みで言う彼女に、俺は思わず『は?』と変な声を出してしまう。

「何言ってんの?」

今度は彼女が変な顔をする。

「俺に1人で行けって言うの?」

酷いやつだとむくれて見せると、彼女は途端に慌てだす。その姿に俺は頬を緩め、今度は彼女がむくれた。全く、可愛い女性(ひと)だ。

「もうっ! からかうなんてヒドいよ?」

むくれたまんまの彼女が言う。そんな彼女を後ろから抱き締め、俺はクスクスと笑い声をたてていた。

「お前が悪いんだろ? 俺を1人で行かせようとするから」

「なっ…そんな、つもりじゃ……」

しゅんとしてしまった彼女を更に強く抱き締め言う。

「わかってるよ。俺たちに気を遣ったんだろう? 俺たちの事、知ってるもんな?」

彼女は、俺たちが過去に付き合っていたことを知ってる。俺がそれを、未だに想い出にしきれないでいることも。

それでもいいと、言ってくれた。

「でも、気なんて遣わなくていいんだよ。だって…」

一度彼女を放し、正面から向かい合う。緊張したような彼女と視線を合わせ、優しく笑って言葉を紡ぐ。

「だって、君は俺の婚約者でしょ?」

目を一杯に見開いて、

「そう…だね……っ!」

真っ赤な顔で彼女が笑う。俺もまた彼女を抱き締め笑う。


これが今の俺たちだ。未来をこの手に掴むため、受け入れ難い別れを受け入れた。それぞれの道を歩み、夢を追い、そして今、俺たちはそれぞれの幸せを手に入れた。


さぁ、笑顔で再会しよう。

約束の時は、すぐそこに――…。

トモダチに…、完結です。

彼氏目線のお話が1話だけというのも寂しい気はしましたが、何分作者は頭が悪いものでして………。

急に彼氏目線のお話を書こうとしても、筆が進まない進まない。(;-Д-)

あっけないと言われればそうですが、楽しんで頂けると幸いです(*´▽`)

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