味方って何だ?
「おい、ポン。お前、オレらの味方だよな!?」
教室に入るなり、三人の男子が僕を囲んだ。
「あ……おはよう」
「おはよう、じゃねぇよ! 味方だろ、っつってんだよ」
「味方って、何の話?」
ウサギのことばかり考えていたので、本当に何も思いつかなかったんだけど、三人はバカにされてるみたいに受け取ったらしかった。リーダー格の千葉くんが、おもいっきりイライラした声をあげる。
「昨日の学級会のぉ! 罰当番のぉ! 話ですけどぉ! 聞いてるぅポン太くぅん!?」
「ああ、あれ……」
千葉くんたち三人は、しょっちゅう掃除をサボって遊んでいる。これまでも何度か注意されたけど直らなかった。そのうちだんだん調子にのって他の人の掃除を邪魔するようになり、一昨日にはとうとう抗議した女子の一人を泣かせてしまったのだ。
「お前、罰当番はおかしい、って言ってたよな? それってオレらの味方だろ?」
そう、僕はたしかに言った。でもそれは、千葉くんたちをかばうためじゃない。
「僕は、罰に掃除をさせるのはおかしいんじゃないか、って言ったんだよ」
「同じだろ」
「違うよ」
「はあ? 意味わかんね」
「だから、掃除って嫌々やるもんじゃないでしょ? 罰でやらされたら、もっと掃除が嫌いになるかもしれないじゃない」
だから、と重ねようとした僕を、千葉くんが手で制す。
「あー、つまり、オレらの味方ではない、ってこと」
「味方とか味方じゃないとか、そんなじゃなくて」
「どっちなんだよ!」
「……僕は、千葉くんたちの味方はしない」
どっちかと言われたら、味方とは言えない。みんなでやるべきことをやらずに平然としているなんて、僕には理解できない。千葉くんは、体を回転させながら教室中にまるで宣伝するように、わざとらしく大声をあげた。
「はいはい、わっかりましたあー。ポン太くんは女子の味方でーす」
「だから、味方とか味方じゃないとか」
「うっせーよ裏切り者」
三人はいつも通り、千葉くんの机のところに戻ってゲームの話を始めた。裏切るも何も、最初から味方でもなんでもないのに。
でも、いつもは気にしない千葉くんの捨て台詞が、今日はなぜかとても気になった。