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僕が行った月の話  作者: 坂本啓
謎の光
4/24

夢か現実か

 僕は、月を見ていた。

 右上が暗い半月が、さっきよりほんの少し高くのぼっている。


 どうやら、窓にもたれたまま眠っていたようだ。少し体が冷えている。

 風邪をひけば学校を休めるけど、熱やせきでつらいのはゴメンだ。僕は急いでベッドにもぐり込んだ。


(それにしても、リアルな夢だったなあ……)

 さっき眠っていた間、僕は月に行った夢を見ていた。パジャマに裸足で月面に立っていて、目の前には巨大な白ウサギが二本足で立っていた。普通に言葉をしゃべってて、触ったらすっごくフワフワで気持ちよかった。


(なんかいろいろ言ってたな……あ、顔グリグリされた)

 少し体が温まってきた。横向きで丸くなっていた体を、ちょっとずつ伸ばす。寝返りをうとうとしたその時、枕元の時計が、窓から射す光に照らされて見えた。


〈0:03 38〉


「区切りは夜の0時。またぐことはできない」


 頭の中で、何かがつながった。僕は腕立て伏せみたいに両腕を突っ張って上半身を起こす。時計をもう一回、確認する。


〈0:03 51〉


「時間切れの場合は自動的に帰る」


 心臓の鼓動が、すごい勢いで体中を震えさせる。まさか。


〈0:04 01〉


「じゃあ、時間だ。またおいで、トモ」




 まさか、夢じゃなかったのか……!?

「嘘だろ……」

 心臓の音が、はっきり分かる。夢にしてはリアルすぎる。現実にしては、あまりにもブッ飛んでいる。気づけば僕は、全力疾走したあとみたいに荒い息をしていた。


〈0:04 20〉


「来るときは『月に行く』、帰るときは『地球に帰る』と意志を決めて口に出せばOK」


「え、まさか、行こうと思えば月に行ける?」

 これが夢じゃないなら、僕は0時になったから帰ってきたってことだ。ということは、今行こうと思えば行けるはずだ。


〈0:04 58〉


「ここに来られるのは、一日一回、一時間まで」


 いや、ちょっと待て。

 今行ったら、次に行けるのはまた0時を過ぎてからだ。今夜はたまたま眠れなかったけど、明日の夜にその時間まで起きていられる自信はない。

 どうせいつも十時頃には部屋に入るんだから、それから落ち着いて心を決めてもいいんじゃないか。


〈0:05 13〉


「質問があれば、何個聞いてもいい。ただし、答えるのは一日一個に限る」


 そうだ、聞きたいことならたくさんある。なんで僕は月に行けたのか、ウサギは何者なのか、これは夢なのか現実なのか、そのほかにも、もっともっとたくさん。


〈0:06 07〉


「きみがここに来ている間、本体は眠っている」


 本体、つまり僕の体はここにあって、意識だけが月に行ってるってことなのかな。それって夢とは違うのかな。考えれば考えるほど、訳がわからなくなってくる。

 とりあえず、今夜は寝よう。落ち着いて考えて、明日の夜に月に行けるか試そう。質問を考えて、十時五十分くらいから。


〈0:07 00〉


「じゃあ、時間だ。またおいで、トモ」


 もし月に行けたら何をしようか。やっぱりまずはジャンプしてみようか。いや、あのウサギの、フカフカな毛がいっぱいのお腹にダイブしようかな。


 空想を並べているうちに、僕はいつの間にか眠っていた。


 






 

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