混沌
混沌とは何に対して使用される言葉なのだろう。いや、実際わからない訳では無い。子供がドリンクバーで色々なジュースをコップに入れ、世にも奇妙な色を放つ飲み物と言えない何かの事を、混沌とした液体、と描写出来るだろう。然し私はそんなにも軽い扱われ方をしている言葉にもっと深い、それこそ混沌とした意味が存在するのではないかと考えている。
宇宙がそれに匹敵するだろうと思い描く。彼方に渦巻く星々が綺羅びやかに廻り続ける。人類にとって最も浪漫感じる想像だ。私が宇宙を描くならば、クトゥルフ神話を含ませよう。混沌に近付くにはもってこいである。
単調としたフルートの音色が響く中、沸騰する混沌の核で蠢く盲目白痴のアザドーズが宇宙を自らの夢として、ただ只管に創り上げている。時空間に存在する門にして鍵、ヨグ=ソトースは総ての時間を支配している。豊穣の神、シュブ=ニグラスは、千匹の仔山羊に囲まれながら、彼方で漂っている。混沌という言葉に最も近い、ナイアーラトテップは人類と言う愚弄の民を嘲り、罵り、蔑み、誑かし、騙し続けているのだ。
矢張り私はクトゥルフ神話に出逢ってから脳が狂ってしまったのだろうか、総ての言葉と出来事を、冒涜極まりない物語へと繋げてしまう。然し後悔などしていない、寧ろ誇りに思っている程だ。
混沌とは暗い底無しの窖に自らの意志で落ちて行く者だ。色々な知識を蓄えて、ごちゃまぜになる哀れな狂信者なのだ。歯車を狂わせる、名状し難い真の心なのである。
原始的な感情「恐怖」が混沌と渦を巻き、宇宙的恐怖が顕れるのだ。