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2話 記憶が間違っているのか、世界が間違えているのか

 主人公の名前はユウスケ。黒を基調とした服装で通していきたいと思っています。ちなみに記憶喪失です。主人公が記憶喪失って、王道!

 その女性は構えていた弓。特徴的で、弦と垂直に弓を乗せられる様にか、十字型になっている。それを背中にしまいながら、ユウスケに近付いて来る。薄ピンクのショートヘアーと薄ピンクのロングスカートが良く似合う、齢18位だろう。気品はあるが、それは高貴さでは無く、神秘さに通じるものだ。宗教の高位な女性だろうか。



「こんにちは。怪我はありませんか?」



 こう問いかけられ、最初に思ったのは言葉が理解出来て良かったという事である。独り言の音が正しい意味があるか分からないし、言語が同じとは限らない。話し掛けられて、初めてその恐怖を知ったのだった。



「こ、こんにちは! 怪我は……、背中を引っ掛かれちゃったみたいです」



 話し掛けられるとは分かっていたのだが、会話をした記憶がユウスケの中に無かったからか、声が上ずってしまった。彼女はくすっと笑いながら、見せて下さい。そう言いながらユウスケの背中の方に足を運んだ。



「あらあら、……これは。角と爪、どちらによって怪我しましたか?」



「えっと、爪です」



「まぁ! 不幸中の幸いでしたね。コロクマの角には毒がありますからね~」




 その女性は口に手を当て、ワザとらしく、しかし上品に驚いた様子をとる。それにしても、角に毒があるとは危なかった。




「って、コロクマかよ! ネーミングセンス微妙だろ!」



「はい、コロクマちゃんって言うんですよ? 可愛いですよねー。でも、正式名称は可愛くないんですよ? 殺しちゃうクマちゃんって言うんですよ~?」




「って正式名称、絶対違う! そんな名前な訳無いでしょ!」



「はい。きっと、違いますねぇ~。正式名称が可愛くないので作っちゃいました」




 テヘっと笑うかの様に彼女はそう言う。ユウスケの中で知識的だったイメージは崩れ、天然なイメージが確立し始めたのだった。正式名称が気になる事だが、きっと彼女は憶えてないだろう。



「あらあら、そうでした。いくら毒じゃないと言っても、お手当てしないといけませんよね」



「そ、そうですね。じゃあ移動しましょうか?」



「あ、いえ。大丈夫ですよ~。バンソコーありますから」




 見たところ、持っていたのは背中に抱えている十字型の弓だけで、治療道具は無い様に見える。爪で引っ掛かれた後は浅いが、広い範囲なので、包帯やら何やら必要だろう。彼女の格好が比較的ラフな格好という事もあり、近くに村でも有るかも知れないと思い、移動するか問いをした。



 しかし彼女はソレを制し、ポケットから取り出した大きめの(怪我に対比すると、凄く小さい)バンソーコー1つで大丈夫だと、言っている。天然さんらしいので、余計不安である。




「そんな、バンソーコー1つで怪我が治る訳無いでしょう?」



「え、何を言ってるんですか~? バンソコーがあれば、ちょちょいのちょいですよ~」




 逆に何を言ってるんでしょう? みたいな目で見られてしまった。あれ? バンソーコーって、そんなに便利だっけ? ユウスケがそんな疑問を抱いてる最中、彼女はもう背中にバンソーコーを貼っていた。すると、みるみる内に怪我が治っていき、傷がそこにあった事すら分からないまでに皮膚が再生していった。そして、バンソーコーも消えたのであった。




「傷、治った!? バンソーコー便利説!?」



「嫌ですわ~。バンソーコーじゃなくて、バンソコーですよ~? それにバンソコーなんて、一般レベルで知れ渡っている治療方法じゃないですか~?」




 ユウスケの記憶にそんな便利なバンソーコーもとい、バンソコーは無い。よくよく考えれば、弓なんて原始的な武器を使わないし、コロクマなんてのも居なかった。



 他人と何かを共有するする事は安心感を生む。ユウスケが他人と出会ってしたかったのは、本能的だがソレである。しかし、共有出来ない現状はユウスケを不安にさせるだけであった。ユウスケの記憶が間違えているのか、ユウスケが居るべき場所を間違えているのか。彼は思考する。




「あの……、もしかして何かお悩みがおありですか?」



 大有りである。しかし、ユウスケは彼女にホントの事を話すかどうか迷った。彼女は良い人であろう。見ず知らずの自分に手当てまでしてくれるのだから。だからと言って、彼女にこれ以上迷惑を掛けてもしょうがないのじゃないだろうか? 自分で何とかした方がいいのでは無いか?




「もし貴方がお悩みなら、ソレをお聞きするのは私の務めです」



「え?」



「私、近くの修道院にてシスターをしていますクレラと申します。神のお声をお聞きする事は出来ませんが、神のご意思である聖書は読み込んでいるので、間違た答えは致しません」



 やはり彼女、クレラはシスターだったようだ。ただし、ずれている。



「でも、貴女の性格と職業を考えたら、迷惑を掛ける事になるかもしれませんよ?」



「構いませんよ? 修道院は困っている方の休息所です。シスターは神のご意思の元、困ってる方を導かん。私が教わった事です」



 やっぱり、質問と答えが合ってない気がする。ただ、そうだな。迷惑を掛けてしまおう。恐らくクレラさんは、自分が記憶喪失である事を伝えれば、記憶が戻る或いは、必要な知識を補間するまで世話をしてくれるだろう。シスターというのはそう言うモノだと、使えない記憶がそう言っている。



 その迷惑はクレラさんの負担になるだろう。でも、それならその分彼女に何かを返せば良いじゃないか。ユウスケは余り考えるのが得意ではない。故に、簡単に理由付けをし、クレラを頼る事にした。



「実は、俺……、」



「あ、その前に! お名前を教えて下さい。これからお世話する事になると思うので」




 実はと言い掛けた時、クレラは手を叩き、名前を聞いてきた。それにしても、彼女は分かってたみただ。これから修道院に暫くお邪魔しようとしていた事を。まぁ、確かにこんな森の中で一人。しかもこんなラフな格好で居れば、家が無く思われても仕方ないのかも知れない。それが、どんな理由でも彼女はユウスケを修道院に連れって言ってくれていたのだろう。




「俺、多分ユウスケって言います。多分って言うのは、その名前と、ちょっとした知識位しか記憶に無いんですよね」



「ユウスケさんですね。記憶喪失ですかね~。まぁ、暗くなってきましたし。一度、修道院に向かって。そこで詳しい話を聞きますね?」



「分かりました。頼みます」




 確かに暗くなってきた。天然だけど有能なのであろう、クレラ。彼女の存在によってユウスケの心が軽くなったのは言うまでも無いだろう。後は修道院に行って、何かを思い出せれば良いのだが。もし、何も思い出せないなら、そのままでも良いからともかく、助けてくれたクレラの力になろう。



 そんな事をクレラの背中の十字架の弓に誓いながら、彼女の後を追いかけて行くのであった。

 2話まで見て頂いて、ありがとうございます。キャラの行動言動は可笑しくありませんでしたかね? ちょっと主人公が相手の気持ち行動を想定しがちですが、仕方ありません。(直すのが面倒だからでは無い)

 コロクマちゃんは、これからちょくちょく出てきます。何故なら、色々な魔獣を出しても把握しきれないし、そこまで発想力が無いからです!←


 誤字脱字感想ありましたら、是非お願いします。3話も良かったら、お読み下さい。

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