君に聞かせたい。
「新曲でたよ。」
あの場所で僕は君に言った。
君の好きな音楽アーティストのCDを持って僕は君を出していた………………。
「その曲のCD貸して。」
と急に君は俺に言ってきた。
「なんでぇ??このグループ好きだったっけ??」
「だって良樹カラオケで歌うのそのグループの曲ばっかりなんだもん!」
俺は前からこのグループが奏でる音楽と純粋な詞が好きだった。
「いつもカラオケで歌うとまたこの曲??って顔で聞いてるから嫌いかと思ってた。」
「良樹の好きなグループの好きな曲は私の好きな曲だよ!だから貸して!」
目を輝かせて言った。
その瞳は今でもしっかりと思い出せる。いつも俺にお願いする時はこの目だ。
「いいよ。貸すよ!!本当にいい曲だよ。俺の宝物だから絶対に返してね。」
「分かってるよ。んでぇ私は??」
「はっ??」
俺は顔が熱くなった。
「大切な人。」
二人はずっとくっついたまま離れなかった。
今までの俺はいつ死んでも後悔しない人生を歩く。
って考えだった。
でもこの時だけは、今は死にたくない。
このまま二人でずっと生きたい。
そう思った。
しかしこのCDは俺の元へ返ってくることはなかった。
君の部屋のCDプレイヤーの横に置かれていた。
旅立つ前まで聞いててくれていたんだろう。
ケースが開けっ放しになっていた。
「全部いい思い出だよ。」
僕は遠い目でつぶやいた。
「今からこの新曲聞かせるね。今回のもいい曲だから。期待してて。」
僕はMDプレイヤーをポケットから取出しイヤホンをはずしてスピーカーに変えた。
そして再生ボタンを押した。
その曲は人の幸せを願う詞になっていた。
一生絶対君に幸あれ。
のフレーズが印象深い。
僕は本当に君を幸せに出来たんだろうか??自分ばっかり幸せになっていたんじゃないんだろうか?? そんなことを考えながらMDプレイヤーから流れる音楽は空へと消えていった。涙が一粒づつ僕の頬を流れていった。




