初恋
ファーストフードのバイトは順調に続けていた。
特に不満なこともなく、毎日楽しく仕事してた。
最初に気になっていた時給の安さも今となっては気にならなくなっていた。
毎日楽しく仕事できればいいじゃん。
って思っていた。
でもそれが当たり前になっていたから恐かった。
やっと仕事を覚え気持ちに余裕ができたのか好きな人ができた。
自分でもびっくりしていた。
今まで人を好きになったことがなかっだ。
人を好きになるってなんて素敵なことなんだろう。
僕は心が踊る感覚を覚えた。
君とたくさん話がしたい。
君と少しでも一秒でも長い時間一緒にいたい。
心からそう思えた。
これが僕の初恋だ。
17才の高校2年の冬、僕は初めて人を好きになった。
中村美希という女性だった。
もう一日中頭から離れなくてどうしていいかわからなくなった。
そのことをバイトの先輩の桜井さんに相談してみた。
「そっか。やっとおまえも人を好きになったか。最近様子がおかしいとは思ってたんだ。そっかそっか!よかったなぁおまえなぁ。」
まだ片思いなのに桜井さんはかなり喜んでいる様子だった。桜井さんは続けて
「人を好きになったことがないって言ってたから人を信じれないような暗い過去でもあるのかと思ってたんだ。」
俺ってそんなイメージだったのか。
「よしっ!俺が協力してやるからまかせとけって!」
少しだけだけど心が軽くなった。
「よろしくお願いします。で何をしたらいいんですか?」
「話せ!」
「えっ??」
「まずは話すことから始めるんだ。良樹は人見知りだからたくさん話して仲良くなることから始めろ。それで良樹が中村のことが好きで中村に気付かせるんだ。好きってことに気付けば中村も良樹のこと意識するだろ?」
「なるほど!じゃたくさん話てみます。」
「でも気を付けろ」
「えっ?何ですか?」
「中村も極度の人見知りだから」
「えっ?中村さんもですか?」
お互いが人見知りって厳しいな。
かなり不安になった。
「だから良樹が積極的になるんだ!」
桜井さんの目は真剣だった。
この人は信じていい人だ。
そう思った。
小さい頃から人見知りだった僕には信じれる人がいなかった。
この時まで誰にも悩みを話せず本当の気持ちを話せずにいた。
僕は自分の殻に閉じこもってばかりいた。
友達と話をする時も友達の意見に合わせるだけ。
そんな自分が嫌で嫌でしかたなかった。
桜井さんになら自分の意見を素直に話せる。
そう思えた。
「わかりました。これからは積極的に話します。」
今から俺は変わらなきゃ。
俺の中で不安が消えた。
こんな会話を夜12時近くまでしていた。
悩みをきいてもらって嬉しかった。そして楽しかった。




