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初めての失恋。


「ついた。」


いつものバイト先、いつものファーストフードなのに、僕にはいつもとは違って見えた。


今日、中村さんがここをいなくなる日。最後の日。

でもなぜか僕の心は落ち着いていた。

なぜか不安はなかった。


コン。コン。


ガチャ!!


「久しぶり。」


中村さんがドアを開けてくれた。


「久しぶりですね。」



緊張はしてなかった。

それよりか今日で辞めちゃうんだ。っと寂しさのほうが大きかった。

中にはいった。

いつもと変わらない風景がそこにはあった。


みんなあんまり考えないようにしてるんだ。

そう思った。


「良樹。おまえテストどうだったん?」


桜井さんに話しかけられた。

「もうバッチリですよ。」



ほんとうは逆だ。


「だよな!六日間も休みとったんだからな!テストの答案見せろよ!」



「はっ?マジっすか?」



「冗談だ。」



なんだよ。あぶねぇなぁ〜。そんなくだらない会話をいつもしている。オレはここが好きだ。


「テストやばかったんだ?」


話を聞いていた中村さんがニヤニヤしながら聞いてきた。


「そうなんですよ。全然出来なくって……。まぁいつもそうなんですけど!」



「いつもならいいじゃん。」



「まぁいいんすけどね!」


今二人しかいないし、番号を聞くチャンスだ。


「あの………。」



「ん?何?」



………………。ダメだ。言葉がでない。

心臓がなっているのがわかった。

やっぱり無理なのか……?

「いや、なんでもないです。」



やっぱり言えないや……。

「あっ!もう時間だよ。いこっ!」



もう時間か……。あとは帰りのすこしの時間しかない。

自分の弱さにむかついた。

バイトをやっていくにつれ焦りと不安がどんどん膨れていった。

仕事もミスが多く、まるで集中できていなかった。



「先にあがりまぁす。」


早く仕事を終わらせた中村さんは休憩室に行った。


「お疲れさまです。」



かなり焦った。早く終わらせないと。

僕は急いで仕事を進めていると休憩室が騒がしくなってきた。


「最後の一日どうだった?」


「就職頑張ってね。」



「寂しくなるね。」



バイトの人達がたくさん集まって、別れのあいさつをしている。


みんな寂しいんだ。


僕は仕事を終わらせてあいさつにいった。


「今まで……。お疲れさまです。これからも頑張ってください。」



一人の仲間がバイトを辞めてしまう。


それだけ……。


それだけだけど……。


悲しかった。


寂しかった。


僕にとって特別な存在だから。


「ありがとう。清水くんも頑張って。」



こんなにたくさん人がいて騒がしくなっていたらとても番号なんて聞けない……。


「じゃお疲れさまです。」



僕はファーストフードをあとにした。


会うの最後になるかもしんない。

でもそんなことは思いたくなかった。


そして中村さんの自転車のカゴに手紙を入れた。


連絡がくることを祈りながら。




しかし、中村さんから連絡がくることはなかった。


永遠の別れだった。

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