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『置き配2』—私が頼んでいない荷物—  作者: 説人


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 ◆六日目・中編◇

 ◆六日目・中編◇


 そこはマンションの裏にある駐車場だった。

 人通りは少なく、誰もいない。入り口付近に時代の面影、公衆電話が目に入った。

 一度も使ったことがなく、なぜ撤去しないのかと疑問を抱く景色。


 ばつ印の場所へ行くと、リヤカーが停められていた。


 地図上の印の横にリヤカーと書かれているので、そこに箱はあるはずと思ってリヤカーの内側を覗き込むと、やはり箱が貼り付けてあった。


 そのリヤカーにはもう一つ、ビニールシートで何かが覆われて乗っていた。それは大きく、まるで人が包まれているような膨らみをしていた。


 嫌な予感がした。


 箱を開けると、写真ではなく、アクセスコードが出てきた。

 スマートフォンのカメラで読み取ると、特定のサイトへ繋がるコード。


 犯人が何を望んでいるのかは察しがつく。

 持田はそれをカメラで読み取ってアクセスした。

 黒い画面が続き、画面を何度も下へスワイプすると、黒い枠と再生ボタンが出てきた。

 そこに置いてあるのは動画だと分かる。


 犯人は自分に何を見せようとしているのか、まさか、行為中の動画……不安が頭をよぎり、再生ボタンを押すのが躊躇(ためら)われた。


 もしも、自分の恥ずかしい動画がネットにあげられていたら……。

 一度ネットに晒されると、もう二度と消すことはできないと聞いたことがある。

 怖くて再生ボタンを押せない時間が虚しく流れた。


 しかし、このままこの動画の正体を見ない選択は考えられなかった。

 持田は意を決した。

 恐る恐る再生ボタンをタップした。


 真っ黒い部屋の中央に、男が両手両足を縛られて横たわっていた。

 頭上の照明がスポットライトのようにその無惨な姿を照らしている。


 口はテープで塞がれて喋れないが、何かを叫ぼうとしているのがテープの激しい動きで分かる。目が酷く充血していた。


 嫌でも身体つきや顔の特徴は、自然と記憶と一致してしまう。

 その人物は一度付き合った男。

 持田は直感で元彼であるのが分かった。


 暗い画面内に虫が飛び、ノイズが耳を突く。画面外から声がした。


「盗撮魔への罰。処刑行為をご覧ください」


 聞き覚えのある声。

 電話をかけてきた男の声と同じだった。

 『盗撮魔』の言葉に写真の記憶が蘇る。

 そして初めて聞く言葉、『処刑行為』――そう聴こえた瞬間、画面外から手が伸びて、男の首に縄が巻かれた。


 男が必死に抵抗しようともがいている。


 首にかけられた縄がギリギリと首を絞め、上方へ身体を持ち上げ始めた。


 元彼の激しい息遣いで口のテープが息を吐いて隆起し、息を吸っては貼り付いてを苦しそうに繰り返していた。

 やがて元彼は地面から離れ、完全に吊られる位置まで吊し上げられ、激しく身体を痙攣させた。


 そこでまた、声がした。


「持田さん。これはあなたが盗撮された復讐をしてあげる、という私からのプレゼントです。次はあなたの番。荷物の宛先がどこだったか覚えてますよね。そして地図の最後にあなたが受け取る物。何をどう判断して、どう動こうとも、私は見ています。ご両親、まだ、お元気だそうです。期待していますよ」


 自分に期待している……持田はまったく意味が分からなかった。


 殺人動画で両親を人質に取られていると同等のことを言われ、さらに次の行動を求められた。

 異常な要求と吊るされた元彼の映像に、そのまま動画を見ていられなくなり、持田は画面を閉じた。


 目の前のビニールシートの膨らみが、動画で起こったことの現実味を増している。


 そこで持田は気づいた。自分はすでに逃れられない運命に飲み込まれている……と。


 逃げたい。


 自分が今こうしていることは犯人以外は誰も知らない。

 今日の行動は犯人と自分だけが知っていること、逃げても他の人は誰も気づかないはず……。


 ドローンで監視されていないか、周囲を警戒しながら持田は公衆電話へ向かった。

 まさか自分が使うことになるとは思ってもみなかった。

 警察に無名で通報し、怪しいビニールシートの存在を伝え、その場を去った。



読んでいただきありがとうございました。


(全9話、完結まで予約投稿済みです)


少しでも面白かったと思っていただけたら、下にある

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また、感想を頂けたら喜んで熟読します。


ぜひ、感想の投稿をよろしくお願いします。

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