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6.非日常へ3 

 私がアリシアであり、銀髪イケメンさんがクラウドだったという事で、ここが自分の創作した物語の世界であることがわかった。


 やっぱり神様がご褒美として夢を叶えてくれたのね。


 寝ている時に見る夢の可能性も考えたけど……、


 モミモミ モミモミ


 手の平にはっきりと伝わる強烈な感触が現実の世界である事を教えてくれている。


 想い描いた世界で理想の自分になれた。


 二つの意味で胸が膨らんで希望しかない。


 でも、問題が一つある。


 仲間のみんなにとっては前から知ってるアリシアだけど、今のアリシア(わたし)は創作者とはいえ物語の世界に入って来たばかりの新人。


 物語の知識が豊富でも、私とアリシアでは性格や振る舞いなんかはかなり違う。


 だからアリシアらしく演じないと変に思われちゃうのは間違いなし。


 上手くやらないと、『お前は誰だ!』って展開に。


 そうならないように頑張らなきゃ。


 とりあえず、この森は……。


 あれ? ここ、どこの森だろう?

 

〈三姉妹の魔女と五人の騎士〉には、序盤で暗闇に閉ざされた魔の森と呼ばれる森が出てくるけど、ここは太陽の光に照らされてて平和な感じ。


 少なくとも魔の森じゃない。


 となると、うーん……。


 駄目だ。 森ごとに特徴を持たせていたわけじゃないし、特徴があったとしても森博士じゃない私にはたぶん見分けがつかない。


 創作者だから予備知識は万全だと思ってたのに全然万全じゃなかった。


 手っ取り早く状況を把握するにはクラウドに聞くのが一番だけど……。


 というか、それ以外の方法が思い付かない。


 でも聞いちゃうと怪しまれるよね。(既に十分怪しい行動は取ってるけど)


 かと言って、知っているフリで乗り切れる自信が私には無い。


 そういうわけで聞いちゃおう。


 知らぬは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うもの。


「クラウド、ここは何処(どこ)だったかしら?」


 アリシアの口調で聞いてみた。


 ”かしら”なんて語尾、生まれて初めて使ったかも。


「申し訳ありません。現在の場所がどこなのか把握することが出来ませんでした」


 あら、クラウドも知らなかった。


 それなら私が知らなくても問題ないよね。


 とポジティブに考える。


「えっと、それじゃあ、他のみんなは何処にいるのかしら?」


「申し訳ありません。”プレセア様”たちの居場所も把握出来ていません」


 クラウドは深く頭を下げて、めちゃくちゃ申し訳なさそうに言った。


 ちょっと罪悪感。


 むしろ、二度も申し訳ないと言わせてしまった私の方こそ申し訳ない。


 ごめんね、クラウド。



 クラウドの話によると、気付いた時には森で私と二人きりだったらしい。


 そして、なぜか眠っていたアリシア()が目を覚ますまで傍でずっと見守っていてくれたそうだ。感謝感謝。


 二人とも何もわからない状況かぁ……。


 だとしたら、地道に探索していくしかないよね。


 周囲を見渡し、空を見上げ、また周囲を見渡す。


 辺り一面、木、根、土、草、木。


 ここで得られる情報は無さそう。


「とりあえず森を出ましょう」


(おお)せのままに」


 というわけで私たちは森を出ることにした。

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