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15.てい!

 入り口にいる見張りが仲間を呼び、洞窟に造られたアジトの砦から次々に無法者たちが剣や斧を持って現れた。


 スキンヘッドに(いか)ついタトゥー。凄くガラが悪い。


 モヒカンと裸族もいたら世紀末だと思った。


「なんだテメーらは!?」


 無法者たちは怒声を浴びせながら私とクラウドは取り囲んだ。


 ひい、ふう、みい……全部で十五人。


 こいつらが村を……。


 ユミル村の惨状が思い浮かぶと同時に激しい怒りが込み上げてきた。


「おいおい、こいつぁ随分といい女じゃねぇか」


 盗賊の一人が私を(いや)らしい目で見て言った。次の瞬間——


 ドゴン!!


 その人はクラウドに顔面を殴られて勢いよく飛んでいった。


「クズが、貴様らの腐った目を向けていい御方ではないぞ」


 クラウドが汚い言葉で嬉しい事を言ってくれた。


「てめー、何しやがんだ!」


 激昂(げきこう)する盗賊たち。

 

 彼らは一斉に私たちに襲い掛かった。


 クラウドは引き続き、盗賊の顔面を殴ってバットの打球のようにかっ飛ばす。


 盗賊(ボール)は次々に洞窟の入り口の壁(フェンス)に直撃。


 盗賊が私に言った言葉がかなり気に入らなかったのか、敢えて顔ばかり狙っている気がする。


 私は私で魔法使いらしく攻撃魔法を使って応戦しようとしたのだけど、今更になって魔法の使い方がよくわからないという致命的な事実を思い出してやめた。


 だってまだ一回しか使ってない上に、その一回は攻撃魔法じゃなくて召喚魔法。


 たぶん使おうと思えば召喚魔法のように初めてでも使えるんだろうけど、失敗して砦ごと破壊なんかしたら元も子もなくなっちゃう。


 なんとなくだけど、破壊(そっち)の可能性の方が高い気がするのよね。


 だから私もクラウドのように素手で戦う事にした。


 アリシアたち三姉妹は武術の心得もある。(かっこ設定)


 だから大丈夫! で、実際大丈夫だった。


「オラッー!」


 とか雄叫(おたけ)びを上げなら私の頭上に斧が振り下ろされても、華麗に避けようと思って失敗しても、


「あいたっ!」

 

 で済んだから。


 頭が割れるかと思いきや、逆に斧の持つ部分が折れたり、剣が刃毀(はこぼ)れした。


「「え? え? えええ!?」」


 と頭を両手で押さえた私と一緒に驚いた盗賊たちを、


「てい!」


 体育の授業で習った柔道(もど)きを駆使し、千切(ちぎ)って投げた。(千切れたのは服で体じゃないよ)


 一分ほど千切っては投げ千切っては投げしてたら、


「ひーーー!」


「ひょええええ!」


 盗賊たちは散り散りになって私から逃げ出した。


「あいつ等は俺に任せてください。あとは”作戦通り”俺が(おとり)になります。アリシア様は子供たちを」


「わかったわ」


 作戦なんて立ててなかったけど、クラウドは私がコケて盗賊たちが砦から出て来た一連の流れを作戦という事にしてくれたみたい。


 その気遣いと優しさには痺れるし憧れるし有難い。


 でもその倍は恥ずかしい。


 とりあえず役割が決まったという事で、クラウドの言う通り二手に分かれた。


 クラウドは砦の外にいる盗賊の対処。


 私は子供たちを助けに砦の中へ。


 砦の中にもまだ盗賊が何人かいたけど、一人をとっちめて子供たちの場所を聞き終えてから残りも合わせて千切って投げた。


 そして、無事に子供たちの居る場所に辿り着く。


「なんだこの女は?」


 子供たちを見張っていたであろう二人の盗賊が威圧的な態度で近付いてくる。


 私は彼等も同じように左右の手で一人ずつ千切って投げた。


「てい! てい!」

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