最狂のコレクター
私は、魂を喰らう者に所属していて、首切り姫なんて呼ばれている。別に、嫌な訳じゃないけど、もっとマシなあだ名欲しかったなぁ。なんて。
今私の目の前にいるのは、仲間の破壊神。私に生首を渡して来た。
「ほらよ。暇つぶしして来た」
相変わらずぶっきらぼうだけど、それもからかい甲斐があって良い。
「あら。珍しく気が効くじゃない。本物なのかしら」
「はー？偽物がここに突っ立ってるって事は俺が負けたって事じゃねーか」
一度も敗北を知らないのか、プライドが高く、皇帝の様な雰囲気を纏っている。その危うさはあるけれど、強い事は間違いない。
私はそれを受け取ると、骨の形を確認した。硬さは上々。丸みは控えめだけれど、エラの形は良い。
「へぇ。センスあるじゃない」
「いらねーよ、そんなセンス」
破壊神は私を無視してちびちゃんと話し始めた。ちびちゃんを特別扱いをしているのには、何かに対する罪滅ぼしのような気が、私にはしなくもない。
でも、私は一刻も早くこの頭蓋骨を手に入れたいので、もう帰ろうと思って瞬間移動をした。
家に帰り、色々してようやく新しいのをコレクション出来るようになった頃には、日付が変わっていた。夕方の四時だったのに。
私は鎖鎌を取り出す。鎖鎌と言っても、鎖は頭蓋骨だけれど。私はそれの最後尾に新しいのを取り付ける。これも随分と長くなった。
眠った後、普通に街中を歩いていたら、戦士たちが襲って来た。百人くらいだろうか。まぁ、恨みを買えば、敵は出来る。それを倒せば、無限ループと言う訳だ。
一斉に襲って来たので、私は鎖鎌を取り出し、前に跳んだ。回転しながら戦闘集団の首を切り落とし、その回転で高度を上げる。そんな調子だ。この戦闘スタイルを見て、あだ名が付けられたらしい。
もう終わってしまった。普段ならターゲット以外は殺さないのだけど、襲って来たなら話は別。さて、選別しますか。
結局、良いものは見つから無かった。強い人の方が、やっぱり良い。たまに掘り出し物もあるけれど。
私がこんなに人の頭蓋骨をコレクションしていたのは、別に最初からじゃない。
最初の私は、いわゆる普通の幸せを描いていたと思う。夫も子供も一人いて、笑って暮らしていた。あの事件、“赤目取締事件”が起こるまでは。
私が家から帰ると、私の遺伝で目が赤かった息子と、抵抗した夫が殺されていて、私も殺されようとしていた。でも、私は夫が握っていた包丁で殺した。
そこからの私の思考がどうだったかは、あまり覚えていない。
