破壊神
翌日。無事元通りになった俺は、うずうずして堪らなかった。
「チビ、あんがとな」
チビは微笑む。感謝の言葉だけでそんなに喜べるなんて、おめでたい奴だ。
俺は電話をかけた。
『もしもし』
「おー、レイ。なんかとにかくぶっ壊せる感じの奴ないか?」
『海中の方だが、反乱軍が都市を作ってるらしい』
「サンキュ、愛して『切るぞ』
まぁ、いいか。
「チビ、行ってくる」
俺は水着に着替えると走り出した。
幸い、海までは近い。それに、俺はマッコウクジラの国生まれだから、水中だって行ける。
早速適当に海中の都市へ行ってみる。ここじゃ無さそうだ。でも、聞き込みは何処でだって出来る。
俺は丁度歩いていたのをちょっと睨んで尋ねた。
「反乱軍の海中都市はどこだ」
「あ、あそこのサンゴ礁を抜けた所だ」
「そうか」
そいつは腰が抜けていたが、ま、良いだろ。
海中都市とやらは、結構デカかった。十年ぐらいはかかりそうだ。そんな長い間反乱を野放しにしておくなんて、イルカ政府はポンコツか?
俺は正面の門から入ろうとした。門番が攻撃して来たが、ちょっと指先で触れると水圧で穴が空いた。やっぱ海中は楽だ。
さてと、破壊しましょうか。
俺は水を操り都市を見境なく破壊していく。逃げる奴はほっといて良いだろう。
しかし、そんな楽しみを邪魔する奴もいる。
「どうか、どうかおやめください!もう、何もしません!あなたに従
俺は破壊しに来ただけだ。そいつは吹っ飛んだ。敵に助けを求めて助かるなんて、随分と平和ボケした考え方だ。
その後も技でどんどん破壊していき、とうとう城っぽい場所に辿り着いた。
何だか、そこまで来ると全部どうでも良くなった気がした。とりあえず、全部壊してしまいたい。
俺は全妖力の十分の一を使って水を爆発させた。その爆発は、俺の視界にあるもの全てを飲み込み、一瞬で都市は消え砂の海底が残った。
しかし、ただ一人、その衝撃に耐えた者がいた。どうやら親玉らしい。
「まだ、負ける訳には行かん!」
そいつは体を槍のようにして飛んできた。多分、あれに当たれば体を突き破られるだろう。まぁ、当たれば、だが。
俺が避けると、そいつは止まってまた繰り返した。
避けるのも面倒だ。技で倒すのも難儀だ。だが、技なんて所詮俺の力の中の一部に過ぎない。
俺は突っ込んで来たそいつの後ろに回り込み、足を掴んだ。俺の筋力なら、こいつを止める事も容易い。
俺はそいつの頭を外すと、帰る支度をした。
今日は、楽しかった。