No.1-4-四話目、というか、四回目-
「終わりだァァァッッ!瞬きはしなかったか!?ンンゥ?」
無理なこと言ってんじゃねーぞ。10分も瞬きできないとか苦痛だろ。どう考えても。
「まぁ、そんなことはさておき、とりあえずガーディアンの正体は分かったな!?28番ッッ!説明しろ!」
俺かよ。だるいなもう。しかし俺は笑顔を作り、
「えーっと、地球に攻め込もうとしている魔物達を撃退するための……いわゆるギルドの様な……」
「まぁほとんどはあっている!よしとしておこう!」
ふー。あぶねーあぶねー。
「我々ガーディアンとは、魔物を討伐するためのギルドの様なものだ!」
「お前らの受け持ったランクごとに、倒せる相手が決まっているゥ!ちなみに、お前らは下位ランクだ。」
「えーっと、つまり上位、G○級みたいな、モン○ハンみたいな感じで相手にもランクが?」
「お前は何一つ隠せていないということを実感するべきだ19番ッッッ!だがその通りだ!今日は話が進むなッッ!
相手悪魔は、下位、上位、最上位という三つのランクに分かれているッッ!残念(?)なことにこの地球に、上位、最上位はいないッ!
下位だけで構成されている!つまるところ、私もお前達も下位ランクだ!階級はS!覚えておけ!そして!上位になりたくば、
ビデオにもあった光か闇の大陸にて、訓練を行わなくてはならないがしかーし!
二大陸での下位ランクハンターは、かなり下の位だ!地球でSSSをとった人材でなければ行くこともままならん!」
つまり、俺のAランクってのも、向こうからしてみりゃ弱小、最弱ってことか。
なめられてやがるな。しかし本職と副職では差がありすぎるのもうなずける。
「さて、お前らにあと一つ、教えておかねばならんことがある。“ウェポン”だ。」
そういうと教官は自分の指輪を大剣へと変形させた。
「お前らはあとでランクに応じた、簡単な武器をうけとることになるだろう。その後は実習訓練だがなァァッッ!」
「ちなみにこのウェポンにもいくつかの種類があってだなッッ!衣服やアクセサリー、カードにもなっているッ!
元々は魔法や、武器などをアクセサリーにダウンロードさせたのが始まりだッッ!
このほかにもいろいろな対魔物用の武器があるゥゥゥッ!もちろん対人用にも使用可能だッッ!」
ほう。それで闘うと。楽しそうだな。
「まぁ、後半グダグダだったが、これにて新人研修を終えるッッ!全員起ィィィィッッ立ゥゥゥゥッ!礼ィィィッ!」
ふー。やっと終わっ
「あーそーそー。28番残れよー。上層部との顔合わせなー。」
てねぇ。つーかすごく気が抜けた声なんですけど。教官さん。
──五分後
「へーい。じょーそーぶとーちゃくー。あーつかれた。あとはてきとーにがんばってねー。」
おい、お前、今みたいな無気力野郎ってことをバラされたくなけりゃぁ、俺と一緒に行け。怖い。此処怖い。
「別にバラしてもいいけどよー。そんときは俺がお前をバラすぞー。」
え?聞こえて……るわけないよな。無い。そう無い。
「とりあえずばいびー。」
帰りやがった……
本当に此処怖いんだって!ねぇ一人にしないで!
「ンンッ………!」
声も出さずに咳で俺の事どかしやがった!つめてェェェェ!
「えーっと……新人さん、此処上層部だからね?来ちゃだめだよー、ってありゃ?サイスミヤ……あぁ!」
ん?いきなり納得されても困るんですけど。
「わざわざこんなところに来てくれてありがとねー。キミAランクに配属なんだよね。」
「えぇ……まぁ……」
「そう硬くならなくていいよー。無優が言ってたしねー。とりあえず、こっち来てよ。」
言われるがままに、ついていくと……えーっと、上層部総裁室?つまり偉い人?
「さっ!総裁がお待ちかねだよー。何と言っても、天使のホープだからねー。」
ドアを開けると、物凄い広い部屋が広がっていた。その中央にはいかにもな人が鎮座していた。
「キミが……紗衣君だね……。待っていたよ。」
「はぁ……えっと……僕が呼ばれた理由について、お聞きしたいのですが。」
「あぁ……此処に来てもらった理由はだね、キミがどれだけすごい人なのか、見ておきたかったんだよ。
齢11にして、その礼儀作法。上々だ。ちなみに、これから君には、新人訓練ではなく、
最初から戦線に出てもらうことになる。いやなら辞めてもいいのだが……」
「ちょっと待っていただきたい。話がいきなりすぎます。詳しい点について追求します。」
「そうだな……もう時間がない。最近、死の大陸にてゲート拡張の噂を聞いた。これは重大なことだ。
ゲートが拡張されると、上位クラスの魔物たちが入ってこれるようになる。
上位クラスは全ての魔物が人間並みの知能を誇り、また戦闘能力も著しく上昇する。
これでは地球のガーディアンが対応しきれんのだ。そこで、前々から新人の中でも特に能力の高い人材を厳選し、
特別な訓練を受けさせ、死の大陸に赴かせることで、ゲート拡張を阻止させる、という計画を実行してきたのだが……」
「だが……?」
総裁は一呼吸置き、話を再開した。
「死の大陸に赴いた同志たちは全員、最下位種達によって、殺された。二重殺害だ。」
悲しげに、しかし威厳を持った声が、自分の胸に鳴り響く感覚を覚えた。
「これ以上、同志達の死を見たくない。お願いできぬか……?」
俺は、どうするべきなんだ?助けるべきなのか?
いや、俺だって死にたくはない。まぁ死んでるのだが。
新しく手に入れたこの現実。神が与えてくれた二度目の現実を、手放したくはない。
ならば見捨てるのか?
いや、そんなことはしない。これを逃せば、のうのうと生き延びた末、悪魔達に殺されるだろう。
そんなことをしても、メリットなど一つもない。
闘うべきなのではないのか?
闘うことこそ、正義であり、定法であり、生きる道。
ならば、やることは一つしかない。
「やはり……キミも……」
「待ってください。やりますよ。死の大陸に行って、ぶっ壊してきます。」
言うことはこれくらいしかなかった。
ただ、闘うのみ。
「そうか……ありがとう。これからは、上層部に君の部屋を設ける。あと……」
「ん?なんです?」
「スキルを拝見したい。キミのスキルは……ほぅ……」
スキル?なにそれおいしいの?
「ん?ん?どうしたんですか?」
「さすがは、Aランク……ということか。キミのスキルは時空操作系の中でも、かなりの力を誇っている。」
「と言うと、俺って強いんですか?」
「あぁ、今まで見てきたAランクの中でも、最強といえるほどね。でも、自分の力を過信してはいけんよ。
どんなに強くても、魔力が尽きれば、やられるし、鍛えなければ使い物にもならない。いいね?」
「はい。ご期待に添えるよう、精進していきます。」
「よろしい。」