No.9中編-蚊、大軍、蟷螂-
「テメェ………やってくれるじゃねぇか……ヒュヒュヒュ!」
「まぁ、こんなの序の口だに。デス・ウェポン“ブラッド・アブソーブ”!」
「そいつは飽きたぜ!デス・ウェポン“ポイズンスモッグ”!」
ポイズンスモッグか。久しぶりに見たような気がする。
シンクロしてるせいか、前よりも毒性が高まったような気がする。
「むむむ。蚊が全滅しちまった。どうするか……」
「じゃあ死ねばいいんじゃないか?ヒュヒュヒュ!」
いつも通り酷いこと言うなぁ。
まぁこれがジョーカーなのだが。
「んー。死ぬわけにもいかにー。まぁいいか。アタックウェポン“キマイラ・ウェーブ”!」
キマイラ・ウェーブ、木の根っこをそのまま鞭にしたようなウェポン。
体力や魔力、さらにはスタミナなどを吸い取り疲労感を与えることもできる凶悪なウェポン。
しかし吸い取れる量が決まっているらしい。
「ヒュヒュヒュ!アタックウェポン“パラディンアクア”!水よ、天を貫け!」
パラディンアクア、水系物理最強クラスのウェポン。
起点からまっすぐにしか攻撃方向が無いが、スピードが速く、殺傷能力も高い。
見事にキマイラ・ウェーブを相殺した。
「やるじゃにーか!モンスターウェポン“ナイトメア”!」
モンスターウェポン、魔物ごとアクセサリーに閉じ込めた代物。
発動時に物凄い魔力を消費、さらに発動している間は魔力を消耗し続ける。
長い間は出せないが、一発逆転の可能性もある。
ちなみにナイトメアは爆発するモンスターらしい。
「まだまだいくにー!アタックウェポン“アースクエイク”!ナイトメア!爆発せよ!」
これはまずい。命が危ない。
「そうはさせないよ!ディフェンスウェポン“オールガード”!」
同じことを思ったのかキュウがディフェンスウェポンを発動してくれた。
ナイスだキュウ。
「うし。俺もやるか。“ベルゼブブ”!でてこい蠅の王!」
ドンッ!
物凄いかっこ悪い王様が出てきた。
ホントやめてほしい。
でてくるたびに吐きそう。
「3対1じゃちょっと歩が悪いにー。まぁいいや。“ワープ”!ばいにー!」
何だよ。
せっかく気持ち悪いの抑えて出したのに。
ふざけんな。
「ヒュヒュヒュ……恐れをなしたか。行くぞ。城に突入だ。」
「おう!」
──純哉一行が城突入より五分後、城の中心エントランスにて
イフェメラがモスキートに対し静かに語る。
「……モスキート、奴らに負けて帰ってくるとは。情けない奴だ。」
それに対しモスキートが反論する。
「何言ってんだ。負けてにーよ。それにイフェメラ!あいつら強いよ!」
「お前が弱いだけだろう?」
「黙れマンティス!お前は闘ってないからそんなこと言えんだに!」
「二人とも。よせ。」
二人の諍いを止め、また静かに告げる。
「時間稼ぎにはなった。結果オーライだ。時空間ゲートはもう数十分で完成する。」
それを聞いたモスキートは静かに微笑む。
「いよいよだにー……俺達は帰れるんだにー。」
「あぁそうさ。帰ろう。私達の世界に。」
「……そう言えばイフェメラ。シカーダ達が堕天派の奴らにつかまった。」
「何だと?それは本当か、マンティス。」
「あぁ………マジだ。」
悪いニュースを聞いて、イフェメラが顔を歪める。
「ふむ……確実だったものが……少し計算がずれた。が、問題はなかろう。事は順調に進んでいる。
マンティス、戦闘態勢に入れ。奴らを足止めしろ。一分でも長く奴らを抑えてくれ。」
「……了解。」
マンティスはうなずくと、ワープでどこかへ移動した。
──その頃、純哉達は
「やべぇぞ!後ろから悪魔の大群が来る!走れえええ!」
逃げていた。
いや、ジョーカーが興味本位で呼び出しスイッチなんて押したからこんなことになっている。
もうあいつふざけんなよ。
死ね畜生。
とも言ってられずただ全速力で走っている。
「ヒュー!アタックウェポン“ボムラッシュ”!爆発しな!ヒャッハーァ!」
「いいぞジョーカー!僕も行くよ!アタックウェポン“イノリーボム”!」
立て続けに起こる爆風の中を走る。
どうやら追手はもう来ないようなので一時停止。
そしてお説教。
「テメェジョーカー!なんつー事してくれやがる!お前のせいですんげー疲れたぞ!この椅子野郎!」
「ヒュー……悪い悪い!でも楽しかったじゃねーか!ヒャァーッ!」
「お前殺すぞ!?おぉ殺す!そうだ殺す!しねえええええええ!」
俺はジョーカーに殴りかかった!
もうこいつは生かしておけぬ!俺の命の為にも!
「バーカ!ヒャッハー!“ダークネス・アイ”!」
「うぐぐぅ!」
動きを止めるなんて卑怯だ!卑怯だ卑怯だ!しかも空中停止。
「もうやめなよ二人とも。」
「ヒャッ!落としてやるぜ。」
ドスンと地面に落とされた。
後で覚えとけよ!
「さて、とりあえず上の階から魔力だ。ゾディッアックの一人だろうな。魔力がデカい。ヒュヒュ!」
「いえ、もうすでに降りてきてますよ。皆さん。」
咄嗟に後ろを振り向くと、既に仮面の男が立っていた。
中国っぽい袖の長い白い衣装に身を包み、能面を付けていた。ほら、おかめ納豆とかのあの顔だよ。
とりあえず、すごく怖いです。
「では、足止めさせてもらうぞ。」
「やられねーよ。」
「ところがどっこい、やらせていただきます。とりあえず、皆さんお名前は?」
今回はちゃんと一人ずつ言おう。
「俺はスミ」
「俺はジョー」
「僕はキュ」
「「「ヤカーウ」」」
「ジョーカー!キュウ!テメェら一歩引くことを知らんのかぁああ!」
「お前だスミヤ。ヒュヒュヒュ!」
「頭に来るな!キミたちは!ムカつくよ!」
「あの……皆さん……?」
ス(何だこの仮面野郎……黙らせるか。)
ジ(こいつ黙らせなきゃなぁ……仮面野郎が。ヒュヒュ。)
キ(ちょっとムカつくなぁこの仮面。)
「「「少し黙ってろ!」」」
どんどんぐだぐだー