表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

星になる。

初めまして! どこぞの悪鬼です。

本日は「星になる。」を開いてくださり、誠にありがとうございます‼

この作品は冬の童話祭2025に参加した作品ですので、子供っぽい視点と表現に特に意識しました。

小さい子供になったつもりで読んでくだされば幸いです!

「ねえねえ。ママ、おじいちゃんはどこに行ったの?」

 ぼくは今日も、ママに聞く。

 おじいちゃんは、どこかに行ってしまった。

 そのたびにママは答える。

「おじいちゃんはね、お星さまになってママたちのことを見ていてくれているんだよ」

 そう答えられるたびに、ぼくはいつも疑問に思っていた。

 おじいちゃんはぼくを見つけられるのに、どうしてぼくはおじいちゃんを見つけられないのだろう……?

「ほら、もう夜だから。おやすみなさい」

「うん、おやすみ」

 時計を見たらもう8時。

 夜遅くまで起きていたらおばけが出ちゃう。

 ぼくは布団にくるまった。でもどうしてだろう……? まったく寝付けなかったんだ。

 ぼくは大きくなったらどうなるんだろう?

 小学校に行って、中学校に行く。

 そして高校に行って、大学に行く。

 好きな人と結婚して、子供をつくって、そしておじいちゃんになる。

 それで……? そしたら、ぼくも星になっちゃうのかな……?

 大好きなみんなを置いて行って皆に姿を見られないで、一人、みんなのことを見守る存在になるのかな。

 ぼくにはおじいちゃんの気持ちがわからない。一人で見ていて寂しくないのかな。

 星となって空で見守っていて、悲しくないのかな……?

 そう思いながら、ぼくは暗い部屋の中で羊を数えた。


 その日、ぼくは不思議な夢を見た。

 もうここにおじいちゃんはいないはずなのに、おじいちゃんと会ったんだ。

 周りにはたくさんの星が輝いていて、宇宙みたいだった。

「おじいちゃん!」

「おぉ……久しぶりだねぇ」

 おじいちゃんはいつもと変わらずにぼくの頭をなでてくれる。

 それがとっても温かくって、ぼくはとっても大好きだ。

「ねえ、おじいちゃん」

「どうしたんだい?」

 おじいちゃんはいつも、ニコニコ笑顔で答えてくれる。

「どうしておじいちゃんは、お星さまになったの? ひとりで寂しくなーい?」

 上を見ると、おじいちゃんのニコニコ笑顔があった。

「全然、寂しくなんてないさ。だって、みんなのことをいつでも見ることができるんだから。タロウが頑張っていることも、大きくなっても、いつでもずっと見ることができるからね」

 おじいちゃんはガッハッハ、と笑う。

 ぼくはそんなおじいちゃんも大好きだった。

「本当に……?」

「本当だよ。いつかタロウも星になるんだ。そのときになったら、わかると思うよ」

 おじいちゃんはずっとなでてくれていた手をぼくの頭から離す。

 そして、おじいちゃんは星がたくさん輝いている方に歩き出した。

「おじいちゃん……!」

「大丈夫、またいつか会うさ。そのときまでタロウのことを見ているよ。立派な旦那さんになるんだぞ」

「おじいちゃん‼」

「ほら、泣かないの……」

 これが、おじいちゃんの最後の笑顔だった。


 朝が来る。

 おばけがいないし、パパやママがいるから、この時間が一番大好きだ。

 最後に一回だけ、聞いてみた。

「おじいちゃんはどこに行っちゃったの?」

 やっぱり、答えは変わらない。

「おじいちゃんはね、お星さまになってママたちのことを見ていてくれているんだよ」

 パパもママもぼくも、そして君も、いつかは星になる。

 でもね、星になることも、悪いことだけじゃないと思うんだ。

 だって星になったら、みんなの様子をずっと見ることができるから。

 星になることに怖がらないで。

 ――星になったって楽しいことはあるんだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
小さな頃って、身近な人の死を受け入れられなかったりしたような気もしています。おじいちゃんが寂しくしていなくて良かった!
2025/01/02 18:17 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ