実習
課外実習当日。
参加する生徒は、一年生の中でも実力が高い有力生徒十数人。
その中に俺は居た。
よく見れば紅陽や蒼双にルイフェランス・トラインの姿も見える。
なんという居心地の悪さ。
ギスギスとした視線が俺に向かって突き刺さるのが嫌でも分かる。
おいおいこいつら本当に学生なんだろうな。
さっきからすごい殺気が俺に集中しているんだが・・・・・・。
実習か行われる会場は、オールトール国から200キロメルトルほど離れた迷いの森というダンジョン。
薄暗い森にどろどろとした何かが、ときおり通り過ぎていくのがわかる。
まだ、ダンジョンに入る前の入り口の広場に待機しているが、
ランク的に言えばC~Bランクの難易度のダンジョンであるはずだ。
C~Bランクといえば、立派に正規軍人に採用されてもおかしくないレベルだ。
本当に大丈夫なのか。
CランクモンスターならまだしもBランクモンスターである、ブレイブイーターやスキルキャンセラー持ちのスナイプニードなどのモンスターは、適切な対処方法を知っていなければ倒すのは難しい。
「はーい皆さんこちらへ注目してください」
この声は生徒会長か。
俺は声がした方へ視線を移す。
そして俺は信じられないものを目撃することになった。
他の男子連中もはっと息を呑んだ
俺達の視線の先、そこには体にぴっちりなバトルスーツを着込んだソフィア・クロスの姿があった。
バトルスーツには、申し訳程度に取り付けられたアーマー以外には素っ裸に黒い布をかぶせような代物で、ただでさえ犯罪的なまでのボリュームであった、豊かな双丘が更に殺人レベルにまで拡大されていた。
たぶんイーグリアス製のスーツだな、良い仕事してるぜ。
「フフ、みなさん私の艶姿に言葉もないようですわね」
ソフィアはご満悦にもその場で一回転。
いいのかこれ、放送禁止レベルだ。
前屈みになって身動きさえ取れない連中すらいるんだが。
「さぁ今から課外実習のルール説明しますわ、ルールは簡単、この森にいるボスモンスター『スラッシュラック』を一番最初に倒したものに今度のオールトール闘技祭のシード権と賞金500万ゴールドが与えられますわ」
オールトール闘技祭のシード権とやらはともかく500万ゴールドはおいしいな。
「ちなみにワタクシも参加しますわ」
というか絶対これ会長の独断で行われてるよな。
そして500万渡す気ねーだろ。
「おい、聞いたかよナクス500万だぜ500万まじやべー」
また、めんどくさいのが来たな。
「ああ、500万はおいしいよな」
「それに会長のあの格好たまらねぇ、いつか俺も会長に認められるような男になってモノにしてやるぜっ」
俺の隣で息巻いてるこいつは、ナック・ベルラット。
紅陽の赤髪とは違い、こいつの髪は赤いというよりは黒に近い赤色をしている。
制服の上からでも体が鍛え上げられているのがわかる。背も高く、俺よりは20センチ以上高い。
同じクラスのクラスメートであるが、かなりのお調子者で実力はあるのだが、かなり馬鹿っぽいのがかなり傷だ。
「こんなとこでだべっていいのかよ、みんな自分と組む奴を探すのに必死だぜ」
今回、単独行動するのも自由だが他の奴とパーティを組んで行動するのもOKとなっているらしく
行動が早い奴はさっさと自分のパーティに実力がある奴を誘い込んでいるようだ。
「俺はいいんだよナクス、一匹狼ってやつさ、それにパーティなんて組んでちんたらやってたら賞金も山分けになっちまうからな」
そう言ってナックの奴は迷いの森へと走っていった。
まぁ確かに、そこには同感だ。
「俺もソロでいくとするか」
どうせ俺なんか誘おうと思う酔狂なやつなんていないだろうしな。
そう思い俺も森の中へ入ろうとしたら後ろから呼び止められた。
「ナクス!!あたし達と組むわよ」
ここにも酔狂な奴が居たんだった。
誘ってきたのは、紅陽、蒼双、ルイフェランスの三人パーティ。
「三人もいりゃ十分じゃねーか俺なんかを誘う必要ないだろ」
「勘違いしないで!!ルイの頼みじゃなかったらアンタなんか誘わないんだからっ」
「ルイ?」
「あ、私のことです」
紅陽と蒼双の後ろに居たルイフェランスがおずおすど前に出て来た。
「紅陽さんがルイフェランスって長くて言いにくいからルイでいいよねって言ってくれたので・・・・・・」
はにかんでるルイフェランスさんまじ天使。
紅陽の妹である蒼双は得意の獲物である薙刀を振り回している。
「ナクス、来る( ´△`) じー」
「蒼双、顔文字入れるのなんとかならんのか・・・・・・」
「そんで?来るの来ないの」
紅陽はじれったそうに地面を蹴る。
確かに、この誘いを断る理由は特にない。
しかし、ソロの方が断然報酬がおいしいのもまた事実。
思考は一瞬。
「誘ってもらって悪いが今回は遠慮しとくぜ」
「え・・・えぇ・・・ナクスさん一緒にいらっしゃらないんですか」
ルイフェランスさんのオロオロしている姿を見ていると少しばかりパーティに入ってもいいかな~と思ってしまったが、それはそれこれはこれ。
今回は利益優先。
俺が今ここにいるのは遊びに来ているわけではないことを忘れてはいけない。
「今回は利益優先ってことで、俺も500は捨てがたいんでね」
紅陽と蒼双の冷めた視線が突き刺さる。
「あっそ、アンタなんかに狩れるとはとても思えないけどねぇ」
「ソロ専乙」
ひどい姉妹だ・・・・・・。
「それじゃルイこんな奴ほっといてさっさといきましょ」
「え・・・・・・あ、はい」
なぜか申し訳なさそうにこちらを見るルイフェランスさん、天使や・・・・・・。
その姿を見るだけでついつい口元が緩んでしまう。
俺は笑いながら軽く手を振り三人を見送った。
そして・・・・・・。
「おい、上手く隠れてるつもりなんだろうが・・・・・・殺気を消すの忘れてるぞ」
アラドでSIきましたねぇ
絶賛サモナーでエンジョイ中であります