廊下
生徒会室から出た俺は廊下を歩き教室を目指した。
課外実習とか絶対に会長の悪巧みが働いてるわけで、今から気が重い。
「仕方ないこととは言え、めんどくせーなー」
「何がめんどくさいって?」
「そりゃ課外実習とやらがだよ」
「ふーんアンタも出るんだ」
「ああ・・・・・・めんど・・・・・・っておわっ」
紅陽の奴いつの間に隣にいやがった!?
つり目じゃなきゃもっと好印象なものを美人なのに絶対に損してるよなこいつ。
間近で見ると改めてそう思う。
「何よ」
「いや別に」
「その実習私も参加するんだけど」
「うぇ・・・・・・お前もかよ」
「何よ」
だから、そんなに睨むなっての。
「いや別に」
「っていうかなんでアンタみたいなのが一年の有力生徒が参加する実習に出られるわけ?」
「生徒会権限」
俺だって参加したいわけじゃない、ただあの生徒会長と揉めごとを起こしたくないんだ。
わかるだろ?そんなことになったら一日で俺が学校中の晒し者になるってのは目に見えてるんだ。
いまさらそんな愚行を犯すリスクを背負うわけがない。
「うっわ職権乱用」
紅陽の軽蔑のまなざしが突き刺さる。
こっち見んな。
「俺だって参加したいわけじゃない」
「あーあー闘技場で戦ってると思ってた時はすっごいワクワクしてたんだけどなぁ」
「うるへー」
俺が幻覚魔法を使って戦闘してなかったことは、俺がぼこぼこにされてデリートされそうになった後に説明している。
「まぁやっぱりアンタみたいな最底辺の人間なんてそんなものよね」
紅陽の侮蔑を含んだ口調にさすがに俺もムッときた。
「俺が死んだと思って震えてたくせに・・・・・・あん時のお前の顔といったら」
つい心にもないことを言ってしまった。
「バカっ!!私ほんとにアンタがデリートされたと思って・・・・・・」
いきなり声を荒げて紅陽は俺を睨みつけた。
そんな顔すんなよ・・・・・・。
「悪かった」
「もう二度とあんなことやらないで」
よく見たら紅陽の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「ああ」
もうしない
人の気持ちを考えない言動と行動は、君の悪いところだよナクス。
旧友の言葉が頭をよぎった。
俺はあれから成長していないってことかな・・・・・・。
教室に戻り紅陽と分かれた。
教室に入った途端に俺にクラスの奴らの視線が集まる。
闘技場の一件があってからはずっとこの調子だ。
そりゃそうだろう。
成績も実力も最底辺とされていたクラスメートがいきなり生徒会の役員だの鬼の風紀委員長や一年である意味一番有名な姉妹との試合だの、嫌でも注目される。
そういえば、あの腹黒生徒会長はこれが狙いだとかなんとか言ってたな。
現に、俺に集める視線はほとんどが敵意。
ぽっと出のどこぞの馬の骨に生徒会の役員というおいしいポジションを取られたってのはやっぱり衝撃だったのだろう。
俺にとっては全然おいしくないポジションなんだが、というか欲しかったら交代してやるから俺に平凡な日常を返してくれ。
と心の中で愚痴っても状況は何も変わらないわけで。
とりあえず俺は次の授業を睡眠にあてることを決意した。