拠点1
昼間まではトラックの走り通る音や市場で賑わう喧噪にこの町は包まれていたが、夜になると噓のように静まり返っている。
何の虫か分からないが、リンリンという涼しげな鳴き声を町中に響き渡らせている。
風流といえばそうだが、物寂しいといえばそうだ。
小さなテントの中で、背中を合わせて眠っている。
私は女性と一つ屋根の下だからという理由ではなく、今後の自分の行方について全くの未知であった為、その不安に襲われて、なかなか寝付けずにいた。
そんな中、イシリアスは一人布団の中で物寂しい虫の鳴き声を聞いていた。
これからのことを暫く考えた後、イシリアスは一つの答えにたどり着いた。
今後の事など考えても何も分からないという事だ。
それであれば、今考える事は未来の事ではなく、今まで起きた事を振り返って現状を把握する事だ。
逆に言えば、今できる事といえばそれしかないということだ。
眩しい光がテントの隙間から差し込んでいる。
どうやら振り返っていた際に眠ってしまっていたようだ。
テントの外からは昨日と同じトラックの音と市場の喧噪が聞こえてきた。
ザリス中佐「おはよう!少年。いや、失礼した。イシリアス君。目覚めの気分はどうかな?」
イシリアス「おはようございます。市場の賑わいで目が覚めていい気分です。ここは賑やかでいいところですね。」
ザリス中佐「そうだろう!この賑やかな市場!これこそが、ここが平和である証拠なのだ。そして私達はこの平和な景色を守る為に奴らと戦っているのだ。」
イシリアス「おぉ…!」
逆光に照らされて自信満々に話す彼女を見て思わず声が出た。
ザリス「付いて来い!イシリアス君!君に紹介したい人がいる!」
イシリアス「紹介したい人?…」
ザリス「あぁ!さぁ行こう!」
ザリスは少年の手を掴み前へ前へと一切の迷いなく歩きだした!
ザリス「ふんっふふん。ふふ~ん。…」
鼻歌を歌っている。上機嫌なんだ。
暫く歩くと何やら怪しげな研究室のような風貌の建物に着いた。
コンコン…
ザリス「ザリス中佐だ!ミーヤ調査員!例の子供を連れて来たぞ!」
シーン……………
大声で呼んだが、何の応答もない。
留守なのか?
コン!コン!コン!コン!
ザリス「なぁ!!私だ!!面白そうな物を見つけたぞ!!!」
……暫くして……
ギィ………
扉が面倒臭そうに音を立てて、開いた。
中からは前髪が伸びて目が見えない小さな女の子が出てきた。
ミーヤ「うるさい……」
ザリス「君が出ないから悪いんだ!いつも言っているだろう!」
ミーヤ「頭が割れる……とにかく入って……」




