始まり2
ザリス「何故だろうな。差し出された手は握りたくなる。こうやって挨拶の後、握手するのも悪くはないな。」
ザリスは少し照れたようにそう言った。
オフロードの道を絶え間なく揺れながら車は走り抜けていく。
挨拶を済ませるとザリスは表情を一新させてこちらを見た。
目が輝いている。
ザリス「さぁ!聞きたいことを質問させて貰おう!時間なら話し合う為には沢山あるからね。」
イシリアス「え?あ、はい…」
イシリアス(1時間くらいか?もうそれぐらい走っているように思えるが、目的地はまだなのだろうか?)
イシリアス「ザリスさん。ベースキャンプには、後どれくらいで着きそうですか?」
イシリアスは質問攻めに少し疲れた声色で言った。
窓から外の景色をぼんやりと見つめていたザリスに話しかけた。
窓から入ってくる風が心地よさそうだ。
ザリス「え?あぁ。あと30分くらいだ。」
返事に少し間があった。疲れているのか、少しぼんやりとしていたようだ。
ザリス「なぁ。君は自分は何の為に生きていると思う?」
ザリスは風が吹き込む窓の方を向いたまま質問した。
イシリアス「唐突な質問ですね。」
急な質問で戸惑ったように返事をした。少し考えてから答えを出した。
イシリアス「難しい質問ですね。僕は考えた事が無かったので。」
「私はね」
ザリスはイシリアスの答えに割って入って喋りだした。
「奴らを殺す為に生きてる。皆殺しにするんだ。それだけが私のね。生きている理由なんだよ。だから、ね。」
風が心地良いのか。とても透き通った爽やかな声でそう言った。
ただ最後の言葉を口から出した時、一瞬あの口を人差し指で押さえた時と同じ目をイシリアスに向けていた。
ホリス少佐「初対面の少年に何を言っているのやら。」
新鮮な空気に溢れた車内で呆れた少佐がため息を吐いた。
ザリス「あと少しで家に着くな。イシリアス君。検問所がある。君は見つからないように車内で隠れているんだ。理由は後から話すよ。命の恩人の言う事だ。信用できるだろう?」
ザリスは廃れた布をイシリアスに差し出した。
イシリアス「…分かりました。理由は後で。あなたを信用します。」
少し惑ったが最善な選択だ。この人は中佐だと言った。私の居た世界なら階級はそれなりに上だ。後で気付かれても何とかなりそうだ。それになにより、この人は私の命を助けてくれた人だ。信用するべきだろう。
ザリス「そう。良かった。」
検問者「IDのご掲示をお願いします。」
ザリス「はい。どうぞ。」
「ありがとうございます。少々お待ちください。」
「分かったよ…」
検問者はIDを手に車を離れて行った。
ザリス「はぁ…私はこの時間がいつも嫌いなんだ。暇つぶしをするには時間が足りない。かと言って暇ではある。何も出来ない時間が苦痛で仕方ない…はぁ。」




